現代美術と伝統美術が共存するコレクション
原美術館ARCの大きな特徴は、現代美術と伝統的な東洋美術の双方を楽しめることです。
1950年代以降の世界の現代美術を中心に、日本の近世絵画や工芸、中国美術など、幅広い分野の作品を収蔵しています。展示内容は企画展などによって変化するため、訪れる時期によって異なる作品やテーマに出会えるのも魅力です。
また、展覧会だけでなく、講演会やワークショップなどの教育普及プログラムも行われています。作品を鑑賞するだけでなく、さまざまな角度から美術に触れられる機会が設けられています。
磯崎新が手がけた美しい建築
美術館の建築を手がけたのは、世界的に活躍した建築家磯崎新です。榛名山麓の自然や周囲の景観との調和を意識して設計された建物は、静かな自然の中に溶け込むような佇まいを見せています。
ピラミッド型の屋根を持つギャラリーA
特に目を引くのが、ピラミッド型の大きな屋根を持つギャラリーAです。正方形の建物に大きな屋根を組み合わせた特徴的なデザインで、周囲の山々の稜線とも呼応するような姿が印象的です。
館内にはトップライトが設けられ、自然光が柔らかく差し込む展示空間となっています。シンプルで落ち着いた空間の中で、現代美術作品をじっくりと鑑賞できます。
ギャラリーB・C
ギャラリーAの両側には、細長いギャラリーB・Cが配置されています。建物全体がシンメトリーな構成となっており、端正で落ち着いた展示空間がつくられています。
建築そのものにも注目しながら展示作品を鑑賞できるため、アートと建築の双方に興味がある人にも魅力的な施設です。
和の美を感じる「觀海庵」
2008年には、特別展示室「觀海庵(かんかいあん)」が増築されました。滋賀県の三井寺(園城寺)にある旧日光院客殿の書院造を参考にした和風建築です。
館内には木材や石、和紙、漆喰などの伝統的な素材が用いられ、日本の建築文化や職人の技を感じられる静かな空間となっています。
觀海庵では東洋古美術などが展示され、現代美術を中心としたギャラリーとは異なる落ち着いた雰囲気の中で、日本や東洋の美術に触れることができます。
自然と一体になった屋外アート
原美術館ARCでは、館内だけでなく、広々とした庭園に展示された屋外彫刻も見どころです。
緑豊かな庭を歩きながら、国内外のアーティストによる作品を鑑賞でき、自然とアートが一体となった独特の景観を楽しめます。
庭園にはアンディ・ウォーホルやジャン=ミシェル・オトニエルなど、世界的に知られるアーティストの作品も設置されています。季節によって周囲の景色が変化するため、春の新緑や秋の紅葉など、訪れる時期によって異なる雰囲気を味わえるのも魅力です。
原美術館から受け継がれた歴史
原美術館ARCの歴史を語るうえで欠かせないのが、東京都品川区にあった原美術館です。
原美術館は1979年に開館し、日本ではまだ現代美術専門の美術館が少なかった時代から、国内外の現代美術を紹介する重要な施設として活動してきました。
美術館として利用された建物は、1938年に実業家原邦造の邸宅として建てられた洋館で、建築家渡辺仁によって設計されました。戦後に一時荒廃した建物は、原邦造の孫である原俊夫によって再生され、美術館として一般公開されました。
その後、数多くの企画展を開催し、日本の現代美術を紹介する場として活動を続けましたが、建物の老朽化などを背景に2021年に閉館しました。その活動は群馬県渋川市の施設へと引き継がれ、現在の原美術館ARCへとつながっています。
伊香保温泉と合わせて楽しめる観光スポット
原美術館ARCは、伊香保温泉をはじめとする渋川・伊香保エリアの観光スポットと組み合わせて訪れやすい立地にあります。
周辺には伊香保温泉や伊香保グリーン牧場などがあり、温泉や自然観光と芸術鑑賞を組み合わせた旅行を楽しめます。
アクセス
公共交通機関を利用する場合は、JR渋川駅から伊香保温泉行きのバスで約15分、「グリーン牧場前」バス停で下車して徒歩約5分です。
車の場合は、関越自動車道・渋川伊香保インターチェンジから約15分でアクセスできます。
自然と建築、さまざまな美術を楽しめる文化施設
原美術館ARCは、現代美術と東洋古美術、日本の伝統美術を一つの場所で楽しめる魅力的な美術館です。
磯崎新が手がけた建築、和の趣を感じる觀海庵、緑豊かな庭園に広がる屋外アートなど、作品だけでなく建築や自然そのものも見どころとなっています。
榛名山麓の豊かな自然に囲まれた環境で、ゆっくりと芸術に触れられるのも魅力です。伊香保温泉や周辺の観光スポットと合わせて訪れることで、渋川・伊香保エリアならではの文化と自然をより深く楽しめるでしょう。