柚子と味噌が織りなす深い味わい
乾燥が進むと、柚子の皮は飴色の光沢を帯び、独特の風味が生まれます。口にすると、柚子の爽やかな香りと味噌の濃厚なうまみが広がり、熟成によって深みを増した味わいを楽しめます。
現代では珍味として親しまれており、薄く切ってそのまま食べるのが代表的な食べ方です。日本酒などのお酒のおつまみにはもちろん、ご飯のおかずとしてもよく合います。味噌汁の具や混ぜご飯の材料にするなど、料理のアクセントとしても活用できます。
古くから伝わる製法と歴史
ゆべしは古くから作られてきた食品で、江戸時代の料理書『料理物語』にも、酒のつまみとしての製法が記されています。十津川ゆべしも、こうした伝統的な食文化につながる食品です。
十津川村では、秋に旬を迎える柚子を使い、各家庭でゆべしを作る習慣が受け継がれてきました。山間部で食材を保存しながら活用してきた、暮らしの知恵が感じられる一品です。修験者や十津川郷士にとっても、携行食や保存食として重宝されてきたと伝えられています。
チーズと合わせてワインのお供にも
十津川ゆべしは、伝統的な和食だけでなく、洋風の食材とも相性のよい食品です。特におすすめなのが、薄切りにしたゆべしをクリームチーズにのせて食べる方法。柚子と味噌の風味にチーズのまろやかさが加わり、ワインのお供にもぴったりです。
柚子を丸ごと生かし、長い時間をかけて作られる十津川ゆべし。山里の食文化と保存の知恵が詰まった、奈良県南部ならではの伝統の味をぜひ味わってみてください。