渋谷ヒカリエは、東京都渋谷区の渋谷駅東口に位置する複合商業施設です。旧東急文化会館跡地に建設され、2012年に開業しました。東急グループが運営しており、商業施設、オフィス、文化施設などが一体となったランドマーク的存在です。さらに、ミュージカル劇場「東急シアターオーブ」も入居しており、渋谷の新たな情報・文化の発信拠点として期待されています。
渋谷ヒカリエは、2005年に渋谷駅周辺が都市再生特別措置法に基づく特定都市再生緊急整備地域に指定されたことをきっかけに、渋谷再開発プロジェクトの一環として誕生しました。渋谷駅東口に位置し、東急東横線、東京メトロ副都心線と地下で直結しています。
低層部には、東急百貨店が運営する商業施設「ShinQs（シンクス）」やカフェ・レストランフロア「dining6」、中層部には「東急シアターオーブ」や「ヒカリエホール」などの文化施設があり、高層部にはディー・エヌ・エーをはじめとする企業が入居するオフィスが配置されています。また、渋谷スクランブルスクエア（東棟）と連絡橋で接続されており、行き来が可能です。
渋谷ヒカリエは、渋谷特有の谷状の地形に合わせて立体的に街をつなぐ役割を果たしています。「アーバン・コア」と呼ばれる巨大な吹き抜けを中心に、縦方向の動きを確保しており、人々の移動や交流をスムーズにする設計が施されています。これにより、渋谷という交通の結節点における公的動線を形成し、人々を有機的に結びつける役目を果たしています。
当初、渋谷ヒカリエは「渋谷新文化街区プロジェクト」や「渋谷二丁目21地区開発計画」という仮称で呼ばれていましたが、2010年4月に正式名称が「渋谷ヒカリエ」と発表されました。2009年6月に着工され、2012年3月に竣工しました。その後、商業スペースが2012年4月26日に、ミュージカル劇場「東急シアターオーブ」が同年7月18日に開業しました。
2020年5月25日には、東横のれん街が渋谷マークシティから渋谷ヒカリエの地下2階と地下3階に移転開業しました。これにより、渋谷ヒカリエはさらに多くの人々を引き寄せる施設となりました。
渋谷ヒカリエの敷地面積は約9,640平方メートル、延床面積は約144,000平方メートルです。地上34階、地下4階建てで、建物の高さは約182.5メートルに及びます。商業施設は約32,000平方メートル、オフィスは約50,000平方メートル、文化施設は約24,000平方メートルが割り当てられています。
渋谷ヒカリエの建設工事は、東急建設と大成建設のJVにより、2009年6月から2012年3月までの33か月間にわたって進められました。敷地内の高低差が12mもあり、元々この敷地は区道によって隔てられていたため、非常に繊細な安全管理が要求される工事でした。
また、東京メトロ銀座線や東急東横線・東京メトロ副都心線渋谷駅と隣接しているため、施工中もこれらの鉄道施設に影響を与えないよう細心の注意が払われました。地下部と地上部、中層部と高層部を同時に施工する多段施工方式が採用され、それぞれの区割りに応じて順打ち工法や逆打ち工法が使い分けられました。
渋谷ヒカリエのフロア構成は、多彩な施設が集まる複合施設としての特徴を持っています。以下はその主要なフロア構成です。
渋谷ヒカリエの11階から16階に位置する「東急シアターオーブ」は、総客席数1972席を誇るミュージカル劇場です。劇場名には、かつて東急文化会館にあった五島プラネタリウムを引き継ぐ意味が込められています。こけら落とし公演として『ウエスト・サイド・ストーリー』が上演されました。
渋谷ヒカリエでは、東急電鉄の公衆無線LAN（フリーWi-Fi）が広く設置されており、無料でインターネットに接続できます。さらに、docomo Wi-FiやWi2の公衆無線LANサービスも利用可能です。
渋谷ヒカリエの開業1周年を記念して、2013年4月26日より東急東横線で特別列車「Shibuya Hikarie号」が運行されています。この列車は、渋谷ヒカリエのデザインを施した10両編成の特別車両で、急行や特急などで運行されています。