椿山荘は、東京都文京区関口二丁目の小高い丘に位置する庭園です。この美しい庭園は、広大な敷地内にホテル椿山荘東京を併設しており、宴会やコンベンションなどの大規模なイベントにも対応できる施設として知られています。
椿山荘の日本庭園は、その美しさで広く知られています。庭園内には、池や滝、茶室などが点在し、四季折々の花々や植物が楽しめます。春には桜、夏には新緑、秋には紅葉、冬には椿が咲き誇り、訪れる人々を魅了します。また、庭園内には数多くの石灯籠や石碑が配置されており、歴史的な趣を感じさせます。
椿山荘は、神田川に面した武蔵野台地の東縁部に位置しており、南北朝時代から椿が自生する景勝地として「つばきやま」と呼ばれていました。この地は江戸時代には久留里藩黒田家の下屋敷として利用されていました。
明治維新後、西南戦争の功績によって山縣有朋は年金740円を授与され、1878年（明治11年）にこの旧屋敷を購入しました。山縣はこの地を「椿山荘」と命名し、自身の趣味である作庭を楽しみました。その後、1918年（大正7年）に藤田財閥の二代目当主である藤田平太郎男爵がこの地を譲り受け、東京での別邸としました。
1948年（昭和23年）に藤田興業（現：DOWAホールディングス）の所有地となり、1952年（昭和27年）には椿山荘で宴会場や結婚式場の営業が開始されました。1955年（昭和30年）には藤田興業の観光部門が分離され、小川栄一が初代社長となり藤田観光が発足、椿山荘の運営が移管されました。
1978年（昭和53年）には、藤田観光が椿山荘内に宿泊施設が必要だと考え、敷地内の再開発計画に着手しました。1983年（昭和58年）に宴会棟が完成し、1992年（平成4年）1月16日には、フォーシーズンズ・ホテルズ&リゾーツとの提携により、「フォーシーズンズホテル椿山荘東京（FSH椿山荘）」が開業しました。しかし、2012年（平成24年）にフォーシーズンズとの提携を終了し、翌年2013年（平成25年）からは「ホテル椿山荘東京」としてリブランドされました。
椿山荘の庭園は一般公開されており、訪れる人々は椿や桜などの植物や史跡を楽しむことができます。庭園の頂上には、三重塔がそびえ立っています。この塔は元々広島県賀茂郡入野（現・東広島市）の竹林寺にありました。創建時期は明らかではありませんが、平安時代の前期に小野篁が創建し、平清盛が第1回の修復を行ったという言い伝えがあります。
1925年（大正14年）、藤田平太郎がこの三重塔を譲り受け、椿山荘に移築しました。太平洋戦争末期の1945年（昭和20年）5月25日の空襲でも、この塔と御神木は奇跡的に焼失を免れました。その後、2003年（平成15年）に国の登録有形文化財に登録されました。
三重塔の建立年代については、繰形の特徴などから室町時代末期と推定されていましたが、2010年（平成22年）から翌年にかけて行われた竹中工務店による耐震補強・改修工事の際に年輪年代調査が行われました。その結果、この塔には1420年頃（室町時代前期）の部材が使用されていることが判明しました。
庭園内には滝や石灯籠が配置され、風情ある日本庭園の美しさを堪能することができます。静かな水の流れや石灯籠の灯りが、訪れる人々に心の安らぎを与えます。
また、水車や橋なども庭園の景観に彩りを添えています。これらの施設は、庭園の自然美と調和しており、訪れる人々に四季折々の風情を感じさせます。
特に夏の夜には、「ほたる沢」でホタルが舞う姿を見ることができます。庭園内の自然環境が整えられているため、ホタルの儚い光を楽しむことができます。
椿山荘へのアクセスは、東京メトロ有楽町線の護国寺駅または江戸川橋駅、もしくはJR山手線の目白駅が最寄り駅となります。都営バスの白61系統も利用でき、「ホテル椿山荘東京前」で下車します。さらに、国際興業バスの無料シャトルバスが池袋駅西口から土日祝日及び繁忙日のみ運行されています。文京区コミュニティバス「Bーぐる」も利用でき、「ホテル椿山荘東京前」で下車可能です。
ホテル椿山荘東京と成田空港および羽田空港との間にはリムジンバスが運行しており、快適な移動が可能です。
椿山荘は、その歴史的価値と美しい庭園、そして豪華なホテル施設が融合した場所として、多くの人々に愛されています。東京の中心でありながら、自然に囲まれた静かな環境で過ごす時間は、訪れる人々にとって特別な体験となることでしょう。
東京メトロ 有楽町線「江戸川橋駅」1a出口：徒歩約 10分
東京メトロ 東西線「早稲田駅」3a出口：徒歩約20分／東京さくらトラム(都電荒川線)「早稲田駅」：徒歩約14分