武家屋敷通り
武家屋敷通りは、秋田県仙北市角館町にある道路です。古城山の麓に位置し、国道46号から南へ延びて、かつての侍町である角館の内町を南北に貫いています。この通りは、江戸時代の街並みや建造物を良好に保存しているため、1976年に日本で初めて長野県の妻籠宿や京都市の産寧坂などとともに、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
仙北市の正式な道路名は「市道武家屋敷通線」で、旧武士の屋敷が並び、黒板塀と枝垂桜が特徴です。仙北市角館町東勝楽丁から角館町表町上丁までの0.8キロメートルの区間は、日本の道100選にも選ばれています。
特に春には枝垂桜が見事で、多くの観光客が訪れます。この通りは「みちのくの小京都」とも称され、日本さくら名所100選や「新・日本街路樹100景」にも選定されています。
歴史
角館町は1590年に戸沢氏が角館城を築いたことに始まります。その後、秋田藩主佐竹義宣の弟である蘆名義勝が統治しましたが、地の不利から1620年に新しい城下町を形成しました。
1656年に蘆名氏が断絶し、佐竹氏一族の佐竹義隣が支配しました。武家屋敷通りの枝垂桜は、佐竹義隣の子の妻が京都から持ち込んだもので、1974年に国の天然記念物に指定されました。
この地域は南北に細長い形状で、北側に城と武家屋敷があり、当時の町並みがよく残っています。
観光名所
武家屋敷通りの中央付近には、左右に曲がる「枡形」と呼ばれる道路があります。これは城郭工法を応用したもので、角館の中心部を通るため交通量が多く、文化財の汚染や交通環境の問題が生じています。そのため、代替路線やアクセス道路の整備が進められています。
沿道の武家屋敷
武家屋敷通りの東勝楽丁から表町までには、古い武家屋敷が並び、黒板塀や茅葺き屋根が特徴です。江戸時代の武家屋敷が6軒現存しており、内部を見学することができます。
石黒家(市指定史跡)
青柳家(県指定史跡)
松本家(県指定有形文化財)
岩橋家(県指定史跡)
河原田家(市指定史跡)
小田野家(市指定史跡)
武家屋敷通りには、土産物店や甘味処、飲食店などが立ち並んでいます。味噌や醤油を醸造する安藤醸造元は嘉永6年(1853年)の創業で、明治に建てられた座敷蔵にはみごとな襖絵がのこっています。また、人力車に乗って町をめぐることもできます。