五城目町は、秋田県中央部の南秋田郡に位置する自然豊かな町です。県都・秋田市から北へ約30キロメートル、能代市から南へ約30キロメートルの場所にあり、八郎湖の東側に広がっています。東部には山々が連なり、西部には田園地帯と市街地が広がるなど、変化に富んだ景観を有しています。
町の中心を流れる馬場目川と、その源流域に広がる豊かな森林は、五城目町の暮らしと文化を支えてきました。また、約500年以上の歴史を誇る五城目朝市をはじめ、伝統産業や郷土料理、豊かな自然景観など、多彩な魅力にあふれています。
五城目町は八郎湖東部に位置するくさび形の町で、総面積の多くを森林が占めています。町の東部には馬場目岳をはじめとする山岳地帯が広がり、西部には肥沃な田園地帯が形成されています。
特に馬場目川流域には約2,000ヘクタールもの豊かな農地が広がり、米作りを中心とした農業が盛んに行われています。一方、上流域には約17,000ヘクタールを超える広大な森林が広がり、林業も古くから地域経済を支えてきました。
四季折々に異なる表情を見せる自然は、訪れる人々を魅了しています。春は山菜、夏は清流と緑、秋は紅葉、冬は一面の銀世界と、季節ごとに美しい景観が楽しめます。
五城目町を代表する存在といえば、標高325メートルの森山です。平野部に独立峰のようにそびえるその姿は町のシンボルとして親しまれています。
国道285号から山頂へ向かう道路を進むと、山頂付近には森林公園が整備されており、散策やハイキングを楽しむことができます。頂上からは湖東平野や大潟村、八郎湖、男鹿半島の山々まで見渡すことができ、五城目町屈指の絶景スポットとして人気があります。
春には桜、夏には深緑、秋には紅葉、冬には雪景色と、季節ごとに異なる景観を楽しめるのも魅力です。
森山の山頂付近には、町のシンボルとして建てられた五城目城があります。天守閣風の建物は「五城目町森林資料館」として活用されており、町の森林文化や林業の歴史について学ぶことができます。
館内では、かつて森林伐採に使われていた道具や、林業に携わった人々の暮らしを紹介する資料が展示されています。また、木工製品や職人の技術についても詳しく紹介されており、木の町として発展してきた五城目町の歴史を知ることができます。
最上階の展望バルコニーからは五城目町の街並みを一望でき、多くの観光客が訪れる人気スポットとなっています。
五城目町を語るうえで欠かせないのが、約530年の歴史を誇る五城目朝市です。
その起源は1495年(明応4年)にさかのぼります。馬場目の地頭であった安東季宗が市神を祀り、市を開いたことが始まりと伝えられています。その後、地域の流通拠点として発展し、現在まで絶えることなく受け継がれてきました。
現在でも「2・5・7・0」の付く日に開催されており、県内最古の朝市として知られています。
朝市には、新鮮な野菜や果物、山菜、きのこ、漬物、鮮魚、花、竹細工など、多種多様な商品が並びます。
春にはフキノトウやワラビ、ゼンマイなどの山菜が店先を彩り、夏には色鮮やかな野菜が並びます。秋になると栗やきのこが登場し、冬には漬物用の野菜や保存食が並ぶなど、季節ごとの変化を楽しむことができます。
朝市は単なる買い物の場ではなく、人々の交流の場としても重要な役割を果たしています。訪れれば、北国ならではの温かな人情と昔ながらの商いの風景に出会うことができます。
標高1,037メートルの馬場目岳は、太平山県立自然公園に属する名峰です。
登山道沿いにはブナの原生林が広がり、高山植物も数多く見られます。山頂からは広大なパノラマが広がり、秋田県中央部の山々や平野部を一望することができます。
周辺には仙入峡や臼内渓谷などの景勝地も点在しており、登山や自然観察を楽しむ人々に人気があります。
馬場目川上流部は、イワナやヤマメが生息する東北有数の渓流釣りスポットとして知られています。
毎年春には「みちのく渓流釣り大会」が開催され、全国各地から多くの釣り愛好家が訪れます。澄み切った渓流と深い森が織りなす風景は、訪れる人々に癒やしを与えています。
馬場目川上流にあるネコバリ岩は、五城目町を代表する奇岩です。
高さ約6メートルの巨大な岩の上に立つ木が、波打つような根を伸ばして地面につながっている不思議な景観から、「根古波離岩(ネコバリ岩)」と呼ばれています。
映画『釣りキチ三平』のロケ地としても知られ、多くの観光客や写真愛好家が訪れています。
馬場目岳へ向かう山間部にある北ノ又集落は、日本の原風景を今に残す美しい集落です。
茅葺き屋根の古民家が点在し、棚田や里山の景観と見事に調和しています。映画『釣りキチ三平』では主人公・三平の家の撮影地として使用されました。
静かな山里には、鳥のさえずりや川のせせらぎが響き、訪れる人に懐かしさと安らぎを与えてくれます。
杉沢交流センター友愛館には、「釣りキチ三平メモリアルルーム」が設けられています。
映画撮影で使用された囲炉裏や小道具のほか、原作者・矢口高雄氏に関する資料、出演者のサインなどが展示されており、作品の世界観を身近に感じることができます。
町の歴史とともに歩んできた五城目神明社は、地域の信仰の中心として親しまれている神社です。
毎年5月には五城目神明社大祭が開催され、多くの参拝客で賑わいます。祭りの期間中には伝統行事や神輿渡御が行われ、町全体が活気に包まれます。
昭和初期の土蔵造りの農業倉庫を再生した文化施設が五城館です。
館内にはアートギャラリーや多目的ホールのほか、五城目町出身の女流作家・矢田津世子の文学記念室があります。執筆原稿や愛用品などが展示され、文学ファンにとって貴重な施設となっています。
約53ヘクタールもの広大な敷地を持つ体験型施設です。
自然観察路や池、昆虫広場、カモシカ園などが整備されており、自然とのふれあいを楽しみながら環境について学ぶことができます。
文化の館では縄文時代から続く地域の歴史や暮らしについても紹介されており、大人から子どもまで楽しめる学習施設となっています。
五城目町を代表する郷土料理がだまこ鍋です。
ご飯をつぶして丸めた「だまこもち」を鶏肉や野菜とともに煮込む鍋料理で、秋田の家庭料理として長く親しまれてきました。
地鶏のうま味と野菜の甘みが溶け込んだ優しい味わいは、寒い冬にぴったりです。
五城目町には300年以上の歴史を持つ老舗酒蔵福禄寿酒造があります。
1688年の創業以来、「福禄寿」や「一白水成」などの銘酒を醸し続けています。良質な地下水と秋田の米を使用した日本酒は高い評価を受けており、全国の愛飲家から支持されています。
歴史ある酒蔵の建物は国の登録有形文化財にも指定されており、五城目町の文化遺産として大切に保存されています。
町の玄関口として人気なのが道の駅「悠紀の国五城目」です。
地元産の野菜や山菜、木工品、日本酒、お菓子などが販売されており、観光客のお土産探しにも最適です。
食事処ではだまこ鍋をはじめとする郷土料理を味わうことができ、併設された自然観察園では森林散策も楽しめます。
五城目町では年間を通じてさまざまな祭りやイベントが開催されています。
これらの催しは地域文化を伝える重要な行事であり、観光客も地元の人々と交流しながら楽しむことができます。
五城目町は、500年以上続く朝市文化、豊かな森林と清流、美しい山岳景観、伝統的な集落風景、そして人々の温かな暮らしが息づく町です。
森山から望む絶景、北ノ又集落の原風景、馬場目川の清流、歴史ある朝市や酒蔵など、どこを訪れても五城目ならではの魅力に出会うことができます。
自然と歴史、文化と人情が調和した五城目町は、秋田県を代表する魅力的な観光地のひとつです。四季折々の美しい風景とともに、ゆったりとした時間を楽しみながら、五城目町ならではの奥深い魅力をぜひ体感してみてください。