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立山黒部アルペンルート

(たてやま くろべ)

世界屈指の雄大な山岳観光ルート

立山黒部アルペンルートは、信州の大町にある扇沢駅から、日本海に面する富山県の立山駅までを結ぶ全長37.2kmの山岳観光ルートです。このルートは北アルプスを横断し、世界有数の壮大なスケールを誇る山岳観光地として、多くの観光客に親しまれています。

ルートの中には、標高差が大きく、その風景や移動手段の多様さから、多くの人々にとって忘れられない旅の体験を提供しています。

高低差と多彩な交通手段

立山黒部アルペンルートは、立山駅から扇沢駅までの直線距離は約25kmですが、その間に1,975メートルもの高低差があります。このルート内には、立山連峰の美しい景観を楽しめる立山ロープウェイや、全線がトンネル内を走行する珍しいケーブルカー、黒部ダムの建設に使用されたトンネルを通る電気バスなど、多彩な交通手段が用意されています。また、黒部ダムの堰堤上を徒歩で移動する区間もあり、徒歩でしか味わえない特別な体験も楽しめます。

中部山岳国立公園と景勝地

立山黒部アルペンルートのほぼ全区間は、中部山岳国立公園内に位置しています。このルートは、飛騨山脈や立山連峰を貫き、黒部ダムなどの多くの景勝地を通過します。ルートの途中には宿泊施設もあり、登山や散策、トレッキングの拠点としても利用されています。訪れる人々は、この雄大な自然の中で様々なアウトドアアクティビティを楽しむことができます。

ルートの開通期間

立山黒部アルペンルートは、毎年4月半ばから開通し、11月半ばに閉鎖されます。ただし、天候によっては開通や閉鎖の時期が前後することがあります。この季節ごとの変化も、アルペンルートの魅力の一つであり、訪れるたびに異なる風景を楽しむことができます。

立山黒部アルペンルートの歴史と観光

立山黒部アルペンルートは、1970年にその名前がつけられ、1971年に全線が開通しました。このルートは、富山県と長野県を最短距離で結ぶものであり、その利便性と自然保護の観点から、運賃は高額に設定されています。また、複数の乗り物を乗り継ぐ必要があるため、主に観光目的で利用されることが多く、その魅力は国境を越えて広がっています。

観光客の増加と国際的な魅力

近年では、富山空港に韓国、中国、台湾、タイからの国際線が乗り入れたことで、これらの国々からの観光客が増加しています。アルペンルートでは、英語、中国語、韓国語による案内も整備されており、海外からの観光客にとっても快適な旅行が提供されています。これにより、立山黒部アルペンルートは、国内外を問わず、多くの人々に愛される観光地となっています。

交通規制とサービス

立山黒部アルペンルートの一部には、マイカー規制が導入されており、立山有料道路の区間では路線バスや観光バス、緊急車両しか通行することができません。また、観光客向けに、立山駅と扇沢駅の間でマイカー回送サービスも提供されており、自家用車で訪れる人々にも便利なサービスが整っています。このような交通規制は、自然環境の保護と観光客の安全を確保するための重要な施策です。

冬季の運行と設備維持

立山黒部アルペンルートは、冬季には通常運行が停止しますが、設備維持のために扇沢から室堂ターミナルまでの区間では点検・稼動が行われています。この期間中も、雪景色や厳しい自然環境の中での特別な体験を楽しむことができます。

雪の大谷

立山高原道路と「雪の大谷」

立山黒部アルペンルートの観光の中心地である室堂は、特に4月から5月にかけて「雪の大谷ウォーク」が観光の目玉となっています。この「雪の大谷ウォーク」は、1994年に3日間のイベントとして始まりましたが、その後拡大され、2004年には4月の全線開通から5月末までの期間にわたり開催されるようになりました。2019年度からは「雪の大谷フェスティバル」として、さらに多くの観光客に楽しんでもらえるように工夫されています。これまでに、2009年には100万人、2014年には200万人の訪問者を迎え、その人気は年々高まっています。

雪の壁の壮大な光景

「雪の大谷」は、室堂から麓に向かう途中にあり、15メートルから20メートルに及ぶ雪の壁が間近で見られる壮大なスポットです。5月の連休時期には、2003年には20メートルを超える積雪が記録され、2013年から2022年の平均では16メートル以上の高さが確認されています。室堂平駐車場の積雪は5メートルから13メートル程度ですが、雪の大谷は国見岳から続く稜線の風下に位置し、特に吹きだまりが発生しやすいため、これほどの積雪となるのです。

除雪作業と観光客の魅力

毎年3月中旬頃からは、GPSを使った位置確認のもとで除雪作業が行われます。この大規模な除雪作業の様子もまた、台湾や韓国、タイ、マレーシア、シンガポールなど、雪が少ない国々からの観光客にとっては大きな魅力となっています。さらに、立山少年自然の家では、研修プログラムの一環として「雪の大谷」見学を行う学校が多くあります。2021年からは、富山地方鉄道が「スカイバス東京」を借り入れ、車窓から雪の大谷を楽しむ特別なツアーを5月中旬から下旬まで運行しており、観光客に新たな楽しみを提供しています。

立山黒部アルペンルートの交通機関

立山駅から扇沢駅までの移動時間は、乗り換え時間を含めずに約2時間程度ですが、繁忙期には各交通機関の待ち時間が1〜2時間に及ぶことがあります。特に出発時刻によっては、同日中にルートを通り抜けるのが難しくなることもあるため、スケジュールには余裕を持つことが推奨されます。運行ダイヤについては、通常の時刻表に加えて臨時便の増発も行われることがあり、比較的スムーズに移動できることもあります。

黒部ケーブルカー

黒部ケーブルカーは、日本で唯一、全線がトンネル内を運行するケーブルカーです。この特殊な運行形態は、景観保護や雪崩被害の防止を目的として設計されています。

また、このケーブルカーは急勾配の斜面を登るため、迫力満点の移動体験が楽しめるとともに、山岳観光ルートならではの緊張感も味わえます。観光シーズンには多くの人々が利用し、黒部峡谷の美しい景観を堪能しながら、短時間で高度を上げることができる人気の交通手段となっています。

立山ロープウェイ

立山ロープウェイは、支柱を一切設けないワンスパン方式を採用しており、全長1,710メートルという日本一の長さを誇ります。この方式により、自然環境への影響を最小限に抑えるとともに、山岳地帯特有の美しい景観を損なうことなく楽しむことができるよう設計されています。ロープウェイからの眺望はまさに絶景で、立山連峰の雄大な自然を一望できるため、多くの観光客にとって忘れられない体験となるでしょう。

観光と自然保護の調和

自然環境への配慮

立山黒部アルペンルートでは、自然環境の保護が非常に重視されており、各種交通手段や施設はその影響を最小限に抑えるように設計されています。特に、全線トンネル内を運行するケーブルカーや支柱を設けないロープウェイは、景観を保護し、自然との調和を考慮した設計の一例です。また、マイカー規制もその一環であり、多くの観光客が利用するにもかかわらず、自然の美しさを維持するための努力が続けられています。

観光の持続可能性

立山黒部アルペンルートでは、観光客の増加に伴う自然環境への影響を最小限に抑えるため、様々な対策が講じられています。例えば、運賃の設定や交通手段の工夫によって、観光客が自然環境に与える負荷を抑える努力が行われています。さらに、観光客に対する環境教育や啓発活動も積極的に行われており、訪れる人々がこの貴重な自然環境を守る意識を持つことが奨励されています。

地域経済への貢献

立山黒部アルペンルートは、観光地としての魅力だけでなく、地域経済にも大きく貢献しています。特に、観光客の増加により、宿泊施設や飲食店、地元の特産品販売などの観光関連産業が活性化しています。また、国際的な観光客の増加に伴い、地域全体の経済活動が活発化し、地元の雇用創出や地域振興にも寄与しています。このように、観光と地域経済の発展がうまく連携し、持続可能な地域社会の形成に寄与していることは、立山黒部アルペンルートの大きな成功の一因となっています。

未来への展望

立山黒部アルペンルートは、今後もその魅力をさらに高め、多くの観光客を惹きつけ続けることでしょう。これまで培われてきた自然環境保護の取り組みや観光サービスの質の向上に加え、新たな観光資源の開発や地域との連携を強化することで、さらに多様な観光体験が提供されることが期待されています。また、国際的な観光客の増加に対応するため、多言語対応やインフラ整備が一層進められる予定です。これにより、立山黒部アルペンルートは、国内外からの観光客にとってますます魅力的な目的地となり、持続可能な観光のモデルケースとして世界に発信されることでしょう。

Information

名称
立山黒部アルペンルート
(たてやま くろべ)
Tateyama Kurobe Alpine Route
リンク
公式サイト
住所
長野県大町市
電話番号
0261-22-0804
駐車場
普通車700台
アクセス

安曇野ICから車で70分[47km]
長野ICから車で90分[52km]
JR大糸線信濃大町駅からバスで40分
JR北陸(長野)新幹線長野駅から特急バスで100分

エリア
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