最上川の舟下りは、山形県最上川で行われる舟運です。古くから酒田港と米沢を結ぶ交通手段として利用されてきましたが、現在は観光目的で運行されています。最上川は山形県内を流れる美しい川です。
最上峡は山形県の最上川中流に位置し、戸沢村古口地区から庄内町の清川地区までの全長16㎞の渓谷です。奇岩怪石や豊かな緑に囲まれ、最上川の中でも特に美しい景観を誇ります。
年中無休で定期船が運航しており、経験豊富な船頭さんが、歌声と軽快な最上訛りのガイドで舟下りを盛り上げてくれ、両岸に山が迫る雄大な自然を眺める最上川舟下りは、心に残る体験となるでしょう。最上峡にあるいくつかの地点から乗船できます。
『プロが選ぶ水上観光船30選』で2022年に第1位を獲得したコースです。約12km、1時間の舟下りで、義経伝説の地やドラマ「おしん」の撮影地などを楽しめます。冬は「こたつ舟」の運行もあります。個性豊かな船頭たちの舟唄やガイドが魅力で、乗るたびに違った楽しみがあります。帰りは路線バスで古口駅や乗船場に戻ることができます。
船でしか行けない神社「仙人堂」に立ち寄りながら最上川を巡る、芭蕉の句が残る歴史ロマンあふれる約1時間の周遊コースです。知識豊富な船頭が義経伝説や芭蕉についてガイドしてくれます。JR高屋駅前に受付があり、「高屋乗船所」を起点に船が発着します。
アクセス方法が舟しかないという、とても個性的な立地条件の「仙人堂」(外川神社)は源義経が立ち寄ったとされ、多くの伝説があるパワースポットです。緑の木々に囲まれた境内は厳かな雰囲気で、近年では縁結び神社として注目されています。
平安時代に舟運が始まり、江戸時代には山形城主最上義光が大規模な整備を行い発展しました。その中でも、船頭たちが最も恐れた三つの難所が「碁点」「三ヶ瀬」「隼」です。現在では、これらの難所を含む約12km、50分間のスリリングな舟下りが人気を集めています。舟下り後は無料送迎バスで乗舟場まで戻ることができます。
難所の紹介
碁点:碁石を並べたように岩が突起している
三ヶ瀬:川底に細い岩礁が三層をなしている
隼:岩礁が川底全体を覆い急流になっている
山形県を流れる一級河川で、最上川水系の本川です。流路延長は229 kmで、一つの都府県のみを流域とする河川としては日本一の長さを誇ります。流域面積は7,040 km²で、日本三大急流の一つに数えられます。上流部では松川とも呼ばれ、日本海に流れ込んでいます。
地理
最上川は山形県米沢市の福島県との境にある吾妻山付近に源を発し、山形県中央部を北に流れます。新庄市付近で西に向きを変え、酒田市で日本海に注ぎます。全流域が一つの県(山形県)に属しています。
かつては河川舟運の道として利用され、内陸部の紅花や米が酒田港を経て主に上方(関西地方)に運ばれました。また、上方から運ばれた雛人形が流域の旧家に多く残されています。最上川舟運の難所として知られる碁点、隼、三ヶ瀬の三地点は村山市にあり、これを「最上川三難所」と呼びます。
最上川の開発史
古代から中世
最上川は流域に有数の穀倉地帯を抱え、上流の米沢盆地、中流の山形盆地、下流の庄内平野はいずれも農業が盛んでした。奈良時代の和銅年間には水稲農耕が行われていたと伝えられ、灌漑を中心とした利水整備が進められました。
鎌倉時代には本格的な灌漑用水整備が始まり、井堰による用水整備が進みました。建久年間(1190年頃)に寒河江川に建設された二ノ堰が、最上川水系における最初の河川施設とされています。
近世
庄内地方は1583年の大宝寺義氏滅亡後、上杉景勝の領有となりました。1591年には甘粕景継が最上川の支流である相澤川と田澤川の合流点下流に平田揚を設け、大町までの溝渠を開鑿しました。
1600年の関ヶ原の戦いの後、庄内地方は最上義光の山形藩が領有し、義光は庄内地方の灌漑整備を進めました。1612年には北楯利長が北楯大堰を開鑿し、庄内地方の農地が拡大しました。1622年の最上騒動後、庄内地方は酒井忠勝の庄内藩が領有し、灌漑整備は幕末まで進められました。
米沢藩の治水事業
米沢藩の初期は財政難に見舞われましたが、直江兼続が最上川の洪水対策として谷地河原石堤を建設しました。これにより米沢城下を洪水から守り、城下町の発展を図りました。後に上杉鷹山が藩政改革を行い、黒井半四郎による「黒井堰」や「飯豊山穴堰」などの灌漑整備が行われ、米沢藩は財政を回復しました。
近代治水整備
最上川は明治時代に入り、欧米各国の近代河川工法が導入され、治水事業が本格的に実施されるようになりました。特に1909年の融雪洪水を契機に、内務省による直轄改修計画がスタートしました。1921年には「赤川放水路建設事業」が着手され、最上川に合流していた赤川を直接日本海に向かって分流させました。
最上特定地域総合開発計画
第二次世界大戦後、最上川水系でも多目的ダムによる河川総合開発事業が計画されました。1954年には国土総合開発法が施行され、最上川水系は「最上特定地域総合開発計画」の対象地域となりました。以降、河川改修や灌漑整備が進められました。
1967年の羽越豪雨や1969年の豪雨災害を受け、建設省は最上川水系の治水対策を抜本的に変更しました。特定多目的ダムによる洪水調節を計画に盛り込み、白川ダムや寒河江ダムなどの建設が進められました。
最上川流域の中でも随一の景観を誇る最上峡を擁する山形県戸沢村。最上峡とは、最上川が出羽山地を横断する最上郡戸沢村古口から東田川郡庄内町清川までの約16kmの峡谷を指します。この一帯は天然杉などが現在も保存されており、最上川県立自然公園に指定されています。
滝と景観
最上峡の両岸には黒森山や鍋流森などから無数の滝が流れており、48の滝があると言われています。その中でも、日本の滝百選に選ばれた「白糸の滝」が代表的で、落差は約120mに及びます。その名の通り、最上川へ注ぐ一筋の流れは、まるで天から垂らした糸のように繊細ですが、枯れることのない湧水には自然の力強さを感じることができます。
四季の表情
最上峡は四季折々にさまざまな表情を見せてくれます。春は山桜が山を彩り、夏は見渡す限りの新緑、秋は山々が錦に染まり、冬は水墨画のような絶景が広がります。
最上川は山形県を流れる美しい川で、日本三大急流のひとつとして知られています。四季折々の風景が楽しめるこの川では、船上から春の山桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色を愛でることができます。
松尾芭蕉の句で知られる最上川
俳聖・松尾芭蕉の句「五月雨を/あつめてはやし/最上川」で知られる最上川。芭蕉自身が舟に乗り、激流をくだった経験を詠んだこの句は、「梅雨の雨が最上川に集まり、ものすごい勢いで流れている」様子を表現しています。最上川は部分的な急流を除けば、川全体の流れはゆるやかで、ゆったりとした舟下りを楽しむことができます。
四季の見どころ
春: 5月初旬の山桜。色鮮やかなピンク色の山桜を船上から楽しむお花見。
初夏: 5月下旬~6月上旬の新緑。清々しい風と鮮やかな緑が魅力。
秋: 10月下旬~11月下旬の紅葉。山々がオレンジや黄色に染まり、水面に映る紅葉が美しい。
冬: 12月下旬~2月の雪景色。水墨画のようなわびさびを感じる風景が広がる。冬場は「こたつ船」が運行され、こたつ+熱燗の舟旅が楽しめます。
舟下りの魅力
最上川の舟下りでは、船頭さんが美声で唄う「最上川舟唄」や、方言たっぷりなトークが楽しめます。また、英語や中国語で舟唄を披露してくれる舟もあります。地元食材をふんだんに使った舟中弁当もおすすめです。山形の鍋料理として有名な「芋煮」や、「川魚の女王」鮎の塩焼きを追加オーダーすれば、風光明媚な景色とともにご当地グルメもしっかり堪能できます(要予約)。