網走監獄博物館は、旧網走刑務所の主要建築物である舎房、教誨堂、庁舎を移築し、明治時代から使用されていた器物や歴史物を展示している日本で唯一の監獄博物館です。
貴重な建築物の保存
特に、5棟が放射状に配置された木造平屋の舎房は国内で唯一現存している貴重なものです。2010年2月には行刑資料館がリニューアルされ、音と映像を用いた参加体験型の「監獄歴史館」としてオープンしました。
新旧の比較展示
現在の網走刑務所舎房の共同室、単独室を再現し、新旧の比較ができるようになりました。
網走監獄博物館の概要
貴重な建築物の中心
博物館の中心となるのは、舎房、教誨堂、庁舎などの主要な建築物です。放射状に配置された木造平屋の舎房は、国内で唯一現存する貴重なものです。
リニューアルされた行刑資料館
2010年には行刑資料館がリニューアルされ、「監獄歴史館」としてオープンしました。ここでは、音と映像を活用した参加型展示を通じて、明治時代から現代までの獄舎の歴史を体感することができます。
体験できる監獄食
受刑者の食事を再現
当時の受刑者たちがどのような食事をしていたのかを知るために、当時の献立を再現した「体験監獄食」が提供されています。意外にも美味しいと評判です。
網走刑務所の歴史と保存活動
地域住民と関連機関の協力
1973年からの改築計画を皮切りに、地元住民や関連機関の協力のもと、網走監獄博物館は設立されました。貴重な建築物を移築・保存するために財団法人も設立され、資金調達にも尽力しました。
国内外での評価
1983年に開館して以降、登録博物館や重要文化財、登録有形文化財に指定されるなど、その歴史的価値は国内外で認められています。
現在の施設との比較展示
2010年には行刑資料館がリニューアルされ、現在の刑務所施設との比較展示も行われるようになりました。無料・有料のガイドツアーも充実しており、より深い理解を深めることができます。
網走の歴史と文化を伝える重要な拠点
未来へ伝える役割
網走監獄博物館は、貴重な建築物や資料を通じて、網走の歴史と文化を未来へ伝える重要な拠点となっています。当時をリアルに再現した展示や参加型プログラムを通して、日本の近代化と受刑者たちの生活史を体感してみてはいかがでしょうか。
概要
施設情報
博物館網走監獄は、明治から網走と深い関わりを持っている網走刑務所の旧建造物を保存公開している野外博物館です。国の名勝に指定されている天都山の中腹に位置し、網走国定公園のエリア内にあります。
1985年(昭和60年)10月10日に公開開始となった「五翼放射状平屋舎房」は、刑務所の施設としては日本国内最古であり、木造の行刑建築としては世界最古です。
体験監獄食
実際に刑務所の食堂として使用していた「網走刑務所旧二見ヶ岡農場食堂棟」と「監獄食堂」では、現在の網走刑務所で収容者が食べている食事のメニューを再現した「体験監獄食」を提供しています(期間限定)。実際に食べた見学者からは「意外に美味しい」と評判です。
ガイドツアー
無料・有料のガイドツアーがあります。
歴史
1973年(昭和48年)に網走刑務所の改築計画が公表され、貴重な建築物が失われることを憂慮した網走新聞社(現在は廃刊)社主の佐藤久が刑務所建築物の移築保存を提唱しました。これに網走市、北海道、法務省などの関係機関も協力し、財団法人を設立するに至りました。建物の移築や復原のために9億円の資金を財団が借り入れるため、佐藤は借入金の個人保証をするなどの努力があり、「刑務所施設の博物館構想」という試みに金融機関も資金を貸し付けました。
- 1980年(昭和55年):財団法人設立認可
- 1983年(昭和58年):開館
- 1996年(平成8年):登録博物館認定
- 2005年(平成17年):教誨堂、五翼放射状平屋舎房、二見ヶ岡農場が登録有形文化財となる。なお、これらの建造物が2016年に重要文化財に指定されたことに伴い、登録有形文化財としての登録は2016年2月9日付けで抹消されている。
- 2008年(平成21年):通算入館者1,000万人突破
- 2010年(平成22年):行刑資料館がリニューアルし監獄歴史館となる。
- 2012年(平成24年):網走監獄財団が公益財団法人へ移行。庁舎、煉瓦造独居房、鏡橋入口哨舎、鏡橋出口哨舎、西門哨舎、裏門、裏門哨舎が登録有形文化財となる。以上のうち、庁舎については2016年に重要文化財に指定されたことに伴い、登録有形文化財としての登録は2016年2月9日付けで抹消されている。
- 2014年(平成26年):鏡橋架け替え工事完了。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」による「2014 TRAVELERS' CHOICE 人気の美術館・博物館トップ10 -日本」第10位を獲得。
- 2016年(平成28年):2月9日付けで以下の2件(8棟)の建造物が重要文化財に指定。
- 旧網走監獄(3棟)
- 庁舎
- 舎房及び中央見張所
- 教誨堂
- 旧網走刑務所二見ケ岡刑務支所(二見ケ岡農場)(5棟)
- 庁舎
- 舎房
- 教誨堂及び食堂
- 鍵鎖附着所(けんさふちゃくじょ)
- 炊場(すいじょう)
展示施設
◎は重要文化財、○は登録有形文化財です。
- 鏡橋(再現構築):建築年1891年(明治24年)、再現年1994年(平成6年)、全長29m・幅6m
- 正門(再現構築):建築年1923年(大正13年)、再現年1983年(昭和58年)、全長23.22m
- 庁舎(移築復原)◎:建築年1912年(明治45年)、移築年1988年(昭和63年)、500m²
- 教誨堂(移設復元)◎:建築年1912年、再現年1981年(昭和56年)、404.87m²
- 五翼放射状官舎(移築復原)◎:建築年1912年(明治45年)、移築年1985年(昭和60年)、3,333.72m²
- 休泊所(再現構築):建築年1891年(明治24年)、再現年1983年(昭和58年)、48.6m²
- 味噌醤油蔵(再現構築):建築年1892年(明治25年)、再現年1983年(昭和58年)、43m²
- 耕耘庫(再現構築):建築年1891年(明治24年)、再現年1983年(昭和58年)、77.76m²
- 旧網走刑務所二見ヶ岡農場(移築復原)◎:建築年1896年(明治29年)、移築年1999年(平成11年)、1,933m²
- 二見ヶ岡農場作業:作業開始年1896年(明治29年)、再現年2000年(平成12年)
- 漬物庫(再現構築):建築年1891年(明治24年)、再現年1983年(昭和58年)、72.9m²
- 浴場(再現構築):建築年1912年(明治45年)、再現年1983年(昭和58年)、208.22m²
- 独立型独居房(再現構築):建築年1912年(明治45年)、再現年1983年(昭和58年)、4.86m²
- 煉瓦造り独居房(移築復原)○:建築年1919年(大正8年)頃、移築年1991年(平成3年)、10m²
- 哨舎(移築復原)○:建築年不明、移築年1992年(平成4年)
- 高見張り(再現構築):建築年1948年(昭和23年)、再現年1983年(昭和58年)、高さ8m
- 監獄歴史館:建築年1983年(昭和58年)、1,443.58m²
- 網走刑務所裏門(移築復原)○:建築年1923年(大正13年)、移築年1995年(平成7年)、全長12m
- 網走刑務所水門(再現構築):建築年1923年(大正13年)、再現年2002年(平成14年)、全長24m
- 釧路地方裁判所網走支部法廷復原棟(移築復原):建築年1952年(昭和27年)、移築年1993年(平成5年)、1,142.82m²
- 看守長屋(再現構築):建築年1912年(明治45年)、再現年2004年(平成16年)、90m²
教育普及活動
年中行事
体験講座
展覧会
イベント
網走監獄に関する作品
入場口前にある『網走番外地シリーズ』映画監督の石井輝男にまつわる石碑「映画『網走番外地』撮影地の碑」(2013年7月)
映画
- 『愛と憎しみの彼方へ』
- 『北海の虎』
- 『網走番外地 (日活)』
- 『地の涯に生きるもの』
- 『人間の條件・完結編』
- 『手錠にかけた恋』
- 『大氷原』
- 『網走番外地 (東映)』シリーズ
- 『新網走番外地』シリーズ
- 『裸の十九才』
- 『監獄人別帳』
- 『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』
- 『大脱獄』
- 『幸福の黄色いハンカチ』
- 『キタキツネ物語』
- 『エル・オー・ヴィ・愛・N・G』
- 『刑務所の中』
- 『スパイ・ゾルゲ』
歌
漫画・書籍
- 徳田球一、志賀義雄『獄中十八年』
- 吉村昭『破獄』
- 宮本顕治『網走の覚書』
- 緒方恭二、福本和也『マル暴株式会社』
- 野田サトル『ゴールデンカムイ』
ゲーム
- 『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』
- 『龍が如く5 夢、叶えし者』