小豆島の素麺作りは、400年ほど前、農作業の暇になる冬の副業として始まる。原料の小麦や塩、麺に塗るごま油も島内産であった。細く延ばしても切れないだけの十分なデ(粘り)を出すために、寒期にたっぷり熟成時間をとった早朝から2日間にわたる職人の手による多くの製造工程を経て作られ、空気の澄んだ瀬戸内の潮風を受けての天日干しされる。以来、素材と製法を守り続けている。「長さ19cm、重さ50g、320~350本」が小豆島手延素麺1束の規格。白く細い麺で強いコシとなめらかなのど越しが特徴。小豆島では、虫送りや法事の手伝い、気の置けない同士の集まりや内々で食べる素麺は「千本ばし」で食べる。「千本ばし」とは、にゅう鉢と呼ぶ大きな鉢や上だらいに夏は井戸水、冬には湯を張って浮かし、四方八方から食べ手の箸が延びることからこの名がついた。