1894年に建築された三層楼の道後温泉を象徴する建築物。近代的なホテルや商店街の中にあって、ひときわ風格ある姿を誇っている。
1994年に公衆浴場として初めて国の重要文化財に指定された。
2009年に発行されたミシュラン・グリーンガイド・ジャポンでは、最高位の三つ星を獲得。共同浴場番付においても、最高位の西の横綱に番付けされている。
通年、朝6時から太鼓の音とともに入浴できるのも名物となっている。
毎朝一番風呂の開始を告げるのが、本館の振鷺閣から鳴り響く「刻太鼓」。朝をはじめ、正午、夕方、ドーンドーンと迫力ある音がこだまする。
地元客はもとより、周囲のホテル・旅館に泊っても、手ぬぐい片手に入りにくる観光客も多く、地元の人の伊予なまりを聞きながら、のんびり温泉に浸るのも、旅情が感じられ楽しめる。
温泉は加温も加水もしていない源泉かけ流し。地熱由来の非火山型で、泉質は単純温泉。源泉温度42~51度で混合して46度で供給している。
入浴コースには4種類あるが、神の湯2階席は55畳の大広間に案内され、ゆかたを貸してくれ、湯上がりには炭火で沸かしたお茶が、天目茶碗にのせられた砥部焼きの湯飲みで出てくる。
皇室専用の浴室又新殿や、夏目漱石ゆかりの「坊っちゃんの間」の見学ができる。
夏目漱石の小説「坊ちゃん」(1905年)の舞台として全国に知られており、夏目漱石は道後温泉本館に訪れている。
スタジオジブリのアニメ映画「千と千尋の神隠し」(2001年公開)において、本作に登場する「油屋」のモデルの一つになった。
2019年から保存修理工事のため休憩室がある2階以上は休館、1階で入浴のみ利用可能。