地獄とは200~300メートルの地底から噴き出る熱湯・噴気・熱泥のこと。
各地獄とも色や成分に特色があり、鉄輪温泉に集中する。
「地獄めぐり」はコバルトブルーの「海地獄」や真っ赤な湯が煮えたぎる「血の池地獄」、約20メートルも熱湯を噴き上げる「竜巻地獄」などそれぞれ特色の異なる8ヶ所を周遊する別府の代表的観光コース。
別府地獄めぐりは、大分県別府市にある別府温泉に点在する地底から噴き出る熱湯、噴気、熱泥などの「地獄」を観光するコースです。地獄とは、200~300メートルの地底から噴き出すこれらの熱現象を指します。各地獄はその色や成分に特色があり、特に鉄輪温泉周辺に集中しています。別府地獄めぐりは、海地獄や血の池地獄、竜巻地獄など、特色の異なる8つの地獄を周遊することができ、別府を代表する観光コースとなっています。
地獄めぐりは、豊かな温泉資源の象徴として発展してきました。別府温泉には青、赤、白など様々な泉色を呈する温泉が点在し、観覧を目的とした温泉も多く存在します。地獄という呼び方は、1694年に貝原益軒が著した『豊国紀行』で使われたのが最古の記録とされています。
かつて地獄は厄介者扱いされていましたが、温泉付き別荘地の開発に伴い、観光資源として整備されました。1910年に海地獄が初めて施設を整備し、入場料を徴収したのが地獄めぐりの始まりです。昭和初期にかけて、自動車を使った遊覧が盛んになり、多くの新しい地獄が開発されました。しかし、過度の開発により泉源の湧出量が減少し、新規開発は1920年代に頭打ちとなりました。
地獄めぐりは現在、別府駅を起点にして定期観光バスで周遊できます。1928年に亀の井自動車(現在の亀の井バス)が設立され、地獄めぐり遊覧バスが運行されるようになりました。この際に、全国初の女性バスガイドが採用され、七五調の観光案内で大好評を博しました。この遊覧バスの成功が地獄めぐりの人気を確立しました。
現在も亀の井バスにより運行されている『別府地獄めぐり』は、国内で最も長い歴史を持つ定期観光バスであり、昔ながらの七五調の観光案内を一部交えながら約2時間半で地獄を巡ることができます。
別府市内には多くの地獄が存在しますが、その中でも地獄めぐりで有名な地獄組合に加入しているのは7つの地獄です。これらは、海地獄、鬼石坊主地獄、かまど地獄、鬼山地獄、白池地獄、血の池地獄、竜巻地獄です。地獄組合加盟の地獄では、共通観覧券の利用や駐車場の無料利用、定期観光バスでの七五調のガイドを聞きながらの見学が可能です。
海地獄は、1200年ほど前に鶴見岳の爆発によって誕生したとされ、コバルトブルーの美しい色をしていますが、温度は98度と非常に高温です。地獄に隣接した池では温泉水でオオオニバスが栽培されており、夏には大きく育った葉の上に子供を乗せるイベントが開催されます。温泉卵が名物であり、足湯も楽しめます。2009年には国の名勝に指定されました。
鬼石坊主地獄鬼石坊主地獄は、熱泥が坊主の頭のように膨れ上がる様子が特徴です。2002年にリニューアルオープンし、別府地獄組合に加盟しました。ここではナトリウム-塩化物泉の温泉を楽しむことができます。
かまど地獄かまど地獄は、もともとは別の場所にありましたが、現在の場所に移転されました。八幡竈門神社の大祭で神前に供える御飯を炊いていたことからこの名が付きました。6つの異なる地獄を楽しむことができ、鬼滅の刃の聖地としても知られています。
鬼山地獄鬼山地獄は、緑白色の熱水をたたえた池を中心に広大なワニ園があり、約100頭のワニが飼育されています。1923年からワニの飼育が始まりました。
白池地獄白池地獄は、噴出時には透明ですが、外気に触れると白濁する温泉です。1931年に整備され、現在は熱帯魚館も併設されています。2009年に国の名勝に指定されました。
血の池地獄血の池地獄は、『豊後国風土記』や『万葉集』にもその存在が記録されている歴史ある地獄です。酸化鉄などにより朱色に染まっており、足湯やオリジナルの土産物も楽しめます。2009年に国の名勝に指定されました。
竜巻地獄竜巻地獄は、間欠泉で30-40分間隔で噴出します。噴出する力は約50mにも達し、観光客の安全のために噴出孔の上部には石の天井が設けられています。2009年に国の名勝に指定されました。
山地獄は、岩山の山裾付近から水蒸気が吹き上げる地獄です。ミニ動物園が併設されており、カピバラやフラミンゴなどの小動物を飼育しています。
坊主地獄坊主地獄は、90度を超える高温の泥が煮えたぎる地獄です。延内寺という寺院があった場所で、1498年の日向灘地震で爆発が発生し、地が裂けて熱泥が噴出しました。
地獄温泉ミュージアム・金竜地獄金竜地獄は、別府の地獄中で最も多量の温泉を湧出します。昭和7年に園地が整備され、多数の仏像や植物園がありました。2009年から営業は休業していましたが、2022年に地獄温泉ミュージアムとしてリニューアルオープンしました。
明礬地獄明礬地獄は、明礬温泉の岡本屋近くに整備された地獄です。江戸時代から湯の花の生産が続けられ、その生産技術は国の重要無形民俗文化財に指定されています。
乙原地獄(観音地獄)乙原地獄は、ラクテンチの敷地内にある地獄です。観音像が安置されていたことから観音地獄として知られ、現在も遊覧客が自由に見学できます。
別府駅から車で15分