筥崎宮

(はこざきぐう)

筥崎宮は、福岡県福岡市東区箱崎に位置する格式高い神社です。式内社(名神大社)であり、筑前国の一宮としても知られています。旧社格は官幣大社で、2023年(令和5年)現在は神社本庁の別表神社に列しています。

筥崎八幡宮(はこざきはちまんぐう)とも呼ばれ、大分県宇佐市の宇佐神宮、京都府八幡市の石清水八幡宮と並び「三大八幡宮」の一つとして名高い神社です。

社名の由来

「筥崎宮」の「筥(はこ)」という字は、円筒状の容器を意味する「筥」が正字であり、一般的に使われる「箱」とは異なります。地名としての「箱崎」には、この神社に由来する特別な意味が込められています。

祭神

筥崎宮の主祭神は、応神天皇、神功皇后、玉依姫命の三柱です。この三柱の神々は、延喜21年(921年)に筑前国穂波郡の大分宮から現在の地に遷座され、以来、信仰の中心として崇められてきました。

筥崎宮の歴史

創建と発展

筥崎宮の創建には複数の説がありますが、神社の公式サイトでは延喜21年(921年)に創建されたとされています。八幡神の託宣を受け、応神天皇・神功皇后・玉依姫命を祭神とする神社が玄界灘に面したこの地に移されました。その後、延長元年(923年)に現在の場所に遷座され、『延喜式神名帳』には「八幡大菩薩筥崎宮一座」として名神大社に列しています。

元寇と筥崎宮の「敵国降伏」

元寇の際には、亀山上皇が「敵国降伏」を祈願し、神門に「敵国降伏」の扁額が掲げられました。この出来事から、筥崎宮は海上交通や海外防護の神として信仰を集めるようになりました。

近代における地位と役割

明治時代には、筥崎宮は県社に列格され、1885年(明治18年)には官幣中社に、1914年(大正3年)には官幣大社に昇格しました。現在も福岡市民をはじめ、多くの人々から信仰を集めています。

境内と主要施設

本殿と拝殿

筥崎宮の本殿は延喜21年(921年)に藤原真材によって創建されました。数度の焼失と再建を経て、現在の本殿は戦国時代に大内義隆が天文15年(1546年)に再建したものです。流造様式の本殿は46坪の広さがあり、左右に縋造車寄が設けられています。また、拝殿は檜皮葺の切妻造で二重虹梁・蟇股が特徴です。

楼門と「敵国降伏」の扁額

楼門は文禄3年(1594年)に小早川隆景によって建立されました。この楼門は三間一戸の入母屋造で、日本三大楼門の一つとされています。楼門には亀山上皇が奉納した「敵國降伏」の扁額が掲げられています。この扁額は、戦乱の時代において人々の心の支えとなりました。

石造一之鳥居と肥前鳥居

一之鳥居は、安土桃山時代(慶長14年(1609年))に鍋島勝茂によって建立されたもので、肥前鳥居として知られています。鳥居の柱は3つに切れ、典型的な肥前鳥居のスタイルを示しています。使用されている石材は旧肥前国松浦郡鷹島の阿翁石で、筥崎宮の象徴として多くの参拝者に親しまれています。

神木「筥松」とその他の施設

楼門の右手には「筥松」と呼ばれる神木が立ち、神功皇后が応神天皇を出産した際に胞衣を納めたとされる場所に植えられたと伝えられています。その他にも、筥崎宮には唐船塔や湧出石、神苑花庭園、高燈籠など、歴史と伝統を感じさせる多くの施設が存在します。

筥崎宮の主な祭事

年間を通じた祭事

筥崎宮では、年間を通じて様々な祭事が執り行われます。中でも有名なのが、毎年9月に開催される「放生会(ほうじょうや)」です。この祭りは、生命を慈しみ、自然の恵みに感謝する行事で、多くの参拝者が訪れます。放生会では、様々な露店が立ち並び、賑やかな雰囲気が広がります。

その他、正月には初詣、夏には祇園祭、秋には収穫祭など、四季折々の行事が催され、多くの人々が筥崎宮を訪れます。これらの祭事は、地域の伝統文化を継承し、神社の信仰を深める重要な役割を果たしています。

放生会と博多の文化

放生会は、命を尊び海の幸・山の幸に感謝する祭りで、素焼きのおはじきやガラス製の「ちゃんぽん」(ビードロ)が名物として売られます。この祭りは、博多の伝統文化として受け継がれており、親しまれています。

御利益と信仰

筥崎宮は、厄除けや開運、商売繁盛などの御利益があるとされ、多くの参拝者が訪れます。特に、「勝利の神」として崇められ、スポーツ選手や受験生などが勝利祈願に訪れることが多いです。また、筥崎宮の神水は、健康や長寿の御利益があるとされ、多くの人々が水を求めて訪れます。

文化財と筥崎宮の象徴

重要文化財

筥崎宮には、室町時代や安土桃山時代に建立された建築物が多数残されており、国の重要文化財に指定されています。具体的には、本殿、拝殿、楼門、一の鳥居がそれに該当します。これらの建物は、歴史的価値が高く、多くの人々にとって大切な文化財となっています。

「敵国降伏」の勅額と切手

元寇の際に亀山上皇が奉納した「敵国降伏」の勅額は、筥崎宮の象徴的な存在です。戦時中にはこの勅額をデザインした切手が発行され、戦意発揚のシンボルとされましたが、戦後は郵便に使用することが禁止されました。

アクセスと交通手段

鉄道でのアクセス

筥崎宮へのアクセスは非常に便利です。最寄り駅は福岡市地下鉄箱崎線の「箱崎宮前駅」で、1番出口から徒歩3分です。また、JR九州鹿児島本線「箱崎駅」からは西口より徒歩8分となっています。

バスでのアクセス

西鉄バスを利用する場合、「箱崎」バス停で下車し、徒歩3分ほどで筥崎宮に到着します。また、「箱崎浜」や「東区役所前」バス停で下車し、筥崎宮の参道を歩いて向かうこともできます。

車でのアクセス

車でのアクセスも容易で、福岡高速1号香椎線の東浜出入口から約1.7kmの距離にあります。駐車場も完備されていますので、車での参拝も可能です。

周辺観光

筥崎宮の周辺には、歴史的な観光スポットや自然豊かな公園が点在しています。例えば、筥崎公園は、広大な敷地を持ち、四季折々の花々が楽しめる憩いの場です。また、福岡市博物館やマリンワールド海の中道などの観光施設も近隣にあり、家族連れや観光客に人気のエリアとなっています。

まとめ

筥崎宮は、福岡市東区に位置する歴史ある神社で、多くの文化財や伝統行事が受け継がれています。元寇に関連する歴史や、博多の文化と深く結びついた祭事が特徴的で、地元の人々からも広く愛されています。福岡を訪れた際には、ぜひ筥崎宮を訪れ、その歴史と信仰の深さを感じてください。

Information

名称
筥崎宮
(はこざきぐう)
Hakozakigu Shrine
リンク
公式サイト
住所
福岡県福岡市東区箱崎1-22-1
電話番号
092-641-7431
アクセス

地下鉄 箱崎宮前駅から徒歩で1分

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