古くから修験道の霊山とされた高尾山の中腹にある寺院。
高尾山には古くから天狗が存在しているとの伝説もある。
744年に聖武天皇の勅令で行基により開山(初登頂)が行われ、高尾山薬王院が創建される。
薬王院の山門をくぐると2体の天狗が迎えてくれる。
縁結びのご利益が得られる「愛染明王(あいぜんみょうおう)堂」や、金運アップのご利益が得られる「八大龍王堂」などが点在。
境内を中心にた樹齢700年とも1,000年とも語られるスギの巨木が成育している。
高尾山薬王院は、東京都八王子市に位置する仏教寺院で、高尾山の中腹にあります。真言宗智山派の関東三大本山のひとつです。正式には「高尾山 薬王院 有喜寺(ゆうきじ)」と呼ばれますが、一般的には「高尾山」または「高尾山薬王院」として親しまれています。薬王院と参道のスギ並木は八王子八十八景に選ばれており、多くの観光客や参拝者が訪れます。
薬王院は、高尾山の豊かな自然に囲まれています。四季折々の風景が楽しめる場所であり、特に紅葉の季節には多くの観光客が訪れます。境内からは、東京都心を一望できる展望台もあり、晴れた日には遠く富士山まで見渡せます。高尾山は、日本百名山の一つにも数えられ、その自然美が魅力です。
高尾山薬王院は、天平16年(744年)、聖武天皇の勅命により東国鎮護の祈願寺として創建され、行基菩薩によって開山されました。当初は薬師如来を本尊として安置し、その名の由来となっています。永和年間(1375年 - 1379年)には、京都の醍醐寺から俊源大徳が高尾山に入り、山岳信仰を基に飯縄権現を守護神として奉りました。このことにより、飯縄信仰の霊山であると同時に修験道の道場としても繁栄しました。
戦国期には、後北条氏の当主・氏政の弟、氏照が高尾山一帯の椚田郷を寄進したとされています。この寄進に基づき、江戸時代には朱印地としての権利を巡る運動が行われました。氏照の寄進は高尾山の発展と繁栄に大きく貢献しました。
毎年1月1日に開催される迎光祭では、初日の出を迎える高尾山頂の祈祷所で、薬王院の伝統的な儀式が行われます。読経により一年の安全が祈願されるこの祭りは、多くの参拝者が参加し、新年の始まりを祝います。
2月3日に行われる節分では、豆まきの際に「鬼は外」と言わず、「福は内」だけを唱えるのが高尾山薬王院の特徴です。本堂から豆をまくのは、薬王院から招待された芸能人や力士、高尾警察署長などの地元官公庁の役職者などです。また、一般人でも3万円の冥加料を支払うことで本堂からの豆まきに参加することができます。
3月第2日曜日に行われる大火渡り祭では、火の上を歩いて渡ることでご利益が得られるとされています。この儀式には多くの参拝者が参加し、勇気を持って火の上を歩くことで心身の浄化を図ります。
薬王院の創建は744年に遡ります。奈良時代、聖武天皇の勅願により、行基菩薩が開山したと伝えられています。創建以来、多くの修行僧や信者が集まり、高尾山は霊場としての地位を築きました。江戸時代には、徳川家康をはじめとする歴代将軍も訪れ、保護を受けたことでさらに発展しました。
薬王院の境内には、数多くの重要な建築物が点在しています。本堂は重層入母屋造りで、荘厳な雰囲気を持っています。その他にも、大師堂、御護摩堂、弁天堂など、多彩な建物があり、それぞれが独自の歴史と文化的価値を持っています。特に本堂前の大きな天狗像は、訪れる人々に強い印象を与えます。
開山本尊:薬師如来
中興本尊:飯縄権現
薬王院の中心となる本堂で、薬師如来と飯縄権現を祀っています。現在の堂宇は1901年(明治34年)に建立され、彩色は施されていませんが、彫刻で装飾されています。入母屋造で、堂内には護摩壇が設けられています。
本尊:飯縄権現
薬王院の中心となる本社で、飯縄権現を祀る社殿です。現在の社殿は1729年(享保14年)に本殿が建立され、1753年(宝暦3年)に幣殿と拝殿が追加されました。その後、1805年(文化2年)、1965年(昭和40年)、1998年(平成10年)に大改修が行われています。江戸時代後期の代表的な神社建築であり、1952年(昭和27年)に東京都指定有形文化財に指定されています。権現造の社殿は、華麗で極彩色の装飾が特徴です。
本尊:神変大菩薩
神変堂は浄心門を入ってすぐ左手にあります。神変大菩薩は修験道の開祖である役小角(役行者)を指し、日本各地の霊山で修行を行い、高尾山でも修行したと伝えられています。堂は入母屋造唐破風付きです。
本尊:八大竜王
1993年(平成5年)11月に建立されました。手水舎のような形式で、ここで硬貨を洗うとよいとされています。
本尊:倶利伽羅竜王
1997年(平成9年)に建立されました。
本尊:弘法大師
修行の場である弘法大師を祀る堂です。
本尊:弁才天
本坊のそばの洞窟内に弁才天が祀られています。1926年(昭和1年)12月に再興されました。
本尊:愛染明王
1994年(平成6年)12月に建立され、宝形造唐破風付きの堂です。
本尊:歓喜天(聖天)
1997年(平成9年)9月に建立された宝形造の堂です。
本尊:弘法大師
江戸時代中期に建立され、1978年(昭和53年)に東京都指定有形文化財に指定されています。方三間で宝形造向拝付の銅板葺です。
本尊:大天狗・小天狗
高尾山に古くから住むとされる天狗を祀っており、大小2社の神社で構成されています。一間社流造の形式です。
本尊:稲荷神
一間社流造唐破風付きの社殿で、極彩色の装飾が施されています。
本尊:不動明王(東京都有形文化財・彫刻)
江戸時代初期の寛永年間(1624年-1644年)に建立され、1953年(昭和28年)に東京都指定有形文化財に指定されました。堂内の木造不動明王及び二童子立像は室町時代以前の作品で、1962年(昭和37年)に東京都有形文化財(彫刻)に指定されています。
護摩焚きを行う修行の場として、多くの参拝者が訪れます。
タイ王国から寄贈された仏舎利を祀っており、塔の前には飯綱大権現の像が建っています。
本尊:浅間大菩薩
一間社流造唐破風付きの社殿です。
山麓に位置する不動院は、参拝者にとってアクセスがしやすい場所にあります。
安全祈願のための特別な祈祷を行う殿堂です。
飯縄権現を遠くから拝むための場所です。社殿は一間社流造唐破風付きです。
本尊:金毘羅大権現
社殿は一間社流造であり、高尾山の自然の中で静かに佇んでいます。
薬王院では、多くの修行や行事が行われています。特に有名なのが、護摩焚き(ごまたき)の儀式です。この儀式では、僧侶が護摩木を焚いて祈りを捧げ、参拝者の願いを天に届けます。また、四季折々の行事も多く、春には花まつり、夏には星祭り、秋には紅葉祭りが開催され、多くの参拝者で賑わいます。
高尾山薬王院へのアクセスは、京王線の高尾山口駅からケーブルカーやリフトを利用するのが便利です。ケーブルカーで高尾山駅まで約6分、リフトで約12分です。そこから徒歩で約20分ほどで薬王院に到着します。境内は一年中公開されており、特に春と秋の観光シーズンには多くの参拝者が訪れます。
高尾山薬王院を訪れた際には、周辺の観光スポットも併せて楽しむことができます。高尾山自然公園や高尾山展望台など、自然を満喫できるスポットが多くあります。また、高尾山の麓には温泉施設もあり、登山や参拝の後にリラックスするのに最適です。
高尾山薬王院は、その歴史と自然の美しさ、そして豊かな文化遺産で多くの人々を魅了しています。修行の場としての厳かな雰囲気と、観光名所としての魅力を兼ね備えた場所です。東京都心からのアクセスも良く、一年を通じて訪れる価値があります。ぜひ、高尾山薬王院を訪れて、その魅力を体感してください。
ケーブルカー・高尾山駅またはエコーリフト・山上駅下車、徒歩約30分
※高尾山駅(山上駅)をつなぐケーブルカー(エコーリフト)乗り場へは、京王線・高尾山口駅下車、徒歩約3分