施設の特徴と役割
筑波宇宙センターは、約53万平方メートルの広大な敷地に広がり、緑豊かな環境の中にさまざまな施設が点在しています。ここでは、宇宙飛行士の育成や、宇宙開発の研究および試験が行われており、種子島宇宙センターで打ち上げられた人工衛星の追跡や管理、さらには新しい人工衛星の開発も実施されています。
一般に知られている施設として、無料で入館できる展示館「スペースドーム」があります。このスペースドーム以外にも、宇宙飛行士養成施設や「きぼう」の管制室など、一部の施設は予約制の見学ツアーで公開されています。
また、宇宙開発に関連する専門の図書館があり、4月の科学技術週間や、10月の宇宙の日ふれあい月間には特別公開も実施されています。
筑波宇宙センターの組織構成
筑波宇宙センター内には、JAXAのいくつかの主要な本部が設置されています。以下に、その概要を示します。
宇宙基幹システム本部
この本部では、宇宙開発に必要なロケットや通信施設の開発、運用が行われています。有人宇宙飛行に関しても、この本部が担当しています。
宇宙利用推進本部
宇宙利用推進本部は、実用衛星や工学実験衛星の開発および運用を担当し、それらの利用促進を推進しています。
プログラムグループ
さらに、以下のようなプログラムグループが宇宙開発計画を実施しています。
- 有人宇宙環境利用プログラムグループ(宇宙飛行士グループ)
試験研究活動
筑波宇宙センターでは、以下のような試験研究活動が行われています。
- 宇宙空間で使用される電子機器の試験・研究(独立行政法人産業技術総合研究所と共同実施)
- 宇宙空間における装置耐用試験(暴露モジュールの運用試験によって実施)
- 光通信機器の試験・研究(独立行政法人情報通信研究機構と共同実施)
- 宇宙空間で使用する電波通信の試験・研究(独立行政法人情報通信研究機構と共同実施)
- 無重力環境の研究・調査(有人宇宙飛行によって実施)
- 宇宙空間における観測機器の研究・開発(国立天文台、宇宙科学研究所、理化学研究所と共同実施)
- 宇宙空間での磁気関連の試験・研究(磁気圏探査などによって実施)
筑波宇宙センター内の主な施設
本部棟
事務関連の部署が所属しており、宇宙図書室などの施設も設置されています。
大型計算機室
富士通製の大型コンピュータが稼動しており、さまざまな計算業務を行っています。
技術研究棟
技術開発や研究が行われる施設で、シミュレーション試験室も設置されています。
管制棟
人工衛星の管制指令を行うセンターです。各通信所とは専用回線で接続されており、衛星打ち上げ後の軌道投入管制は種子島宇宙センターから引き継がれます。深宇宙探査機や天体観測衛星の運用管制は宇宙科学研究所が実施します。
試験棟
宇宙空間を想定した訓練シミュレータが設置されており、「きぼう」に関連する訓練が行われます。また、その他の船外訓練は、アメリカのジョンソン宇宙センターや、ロシアのスターシティ内の訓練施設で実施されます。
実験棟
高度真空試験装置など、宇宙空間を想定した人工衛星や機材の試験が行われる施設です。「ひまわり」、「だいち」、「かぐや」など、日本の代表的な衛星の調整や試験がここで行われます。
磁場試験棟
地球を取り巻く磁気圏における人工衛星の状態を試験するための施設です。
スペースドーム
一般見学者向けの展示館で、館内面積は1,460平方メートルです。ここには、「きく」シリーズをはじめ、「だいち」、「かぐや」、「きぼう」、「こうのとり」など、日本の宇宙機やロケットの実物大または縮小模型が展示されています。また、宇宙服姿での撮影ができるコーナーも設置されています。2007年4月21日に行われた特別公開では、センター正面近くの屋外にH-IIロケット試験機(全長約50m)が横向きに特別展示されましたが、現在では常設展示となっており、2007年秋にはLE-7エンジンが取り付けられて展示されています。
特別公開と見学ツアー
筑波宇宙センターでは、毎年4月の科学技術週間や10月の宇宙の日ふれあい月間に合わせて特別公開が行われます。この期間中には、通常非公開の施設の一部が公開され、宇宙開発に関する最新の情報や展示物を目にすることができます。
また、見学ツアーも定期的に開催されており、事前予約が必要ですが、宇宙飛行士の訓練施設や「きぼう」管制室などの内部を見学することができます。これにより、宇宙開発の最前線を直接体験できる機会が提供されています。
関連施設と連携
筑波宇宙センターは、国内外のさまざまな研究機関や大学と連携して、宇宙開発および研究を進めています。特に、国立天文台や宇宙科学研究所、理化学研究所などと共同で、観測機器の開発や宇宙空間における様々な実験を実施しています。
さらに、アメリカのNASAやロシアのロスコスモスなど、国際的な宇宙開発機関とも協力し、国際宇宙ステーション(ISS)での実験や有人宇宙飛行のミッションを実施しています。
宇宙開発への貢献と未来への展望
筑波宇宙センターは、これまでに数多くの人工衛星や宇宙探査機の開発・運用を成功させてきました。これにより、日本の宇宙開発は国際的に高い評価を受けています。また、今後も新たな宇宙開発プロジェクトを通じて、科学技術の発展と人類の宇宙進出に貢献し続けることが期待されています。
特に、国際宇宙ステーション「きぼう」モジュールでの実験や、新型ロケットの開発、深宇宙探査計画など、挑戦的なプロジェクトが進行中です。筑波宇宙センターは、これからも日本の宇宙開発の中心的な拠点として、重要な役割を果たしていくでしょう。
まとめ
筑波宇宙センターは、日本の宇宙開発の中心的な拠点であり、JAXAの最前線での活動が集約される場所です。広大な敷地内には、宇宙飛行士の訓練施設や人工衛星の開発・運用施設が点在し、一般公開されるスペースドームでは、宇宙開発の歴史と未来を感じることができます。
宇宙への夢を持つすべての人にとって、筑波宇宙センターは訪れる価値のある場所です。未来の宇宙開発に向けた挑戦と努力が日々続けられているこの場所で、ぜひその一端に触れてみてください。