桜や紅葉の名所である標高382メートルの山「嵐山」の麓、桂川に架かる橋。
穏やかに流れる桂川とバックの嵐山とのコンビネーションが美しく、
映画やテレビドラマの撮影、観光パンフレットなどに使われる嵐山を象徴する京都の代表的な観光地。
夜は橋上流に造られた小型水力発電機の電力でライトアップされている。
現在の橋は1934年(昭和9年)に完成した橋で、長さ155メートル、幅11メートル。
鉄骨鉄筋コンクリート桁橋で車の通行も可能だが、
景観との調和を図り、木製の旧橋を受け継いでいる。
橋面は中央部が約1メートル高い弓なりの形状で、木造角格子式の高欄になっていて、木造の橋のように見える。
渡月橋は北側の岸と桂川の中洲をなす島「中之島」に架かっていて、
中之島と南側の岸の間には短い橋「渡月小橋」が架かっている。
中之島の大部分は保護区の公園である嵐山公園 中之島地区。
松や桜が多く、美しい木々が生い茂り、特に花見の季節には多くの行楽客で賑わう。
836年に空海の弟子の僧である道昌が、嵐山の山腹に位置する法輪寺への参詣道として、架橋したのが始まりとされ、法輪寺橋と呼ばれていた。
また当初は100メートルほど上流にあったとされている。
鎌倉時代に亀山上皇が橋の上空を移動していく月を眺めて、月が橋を渡るように動いていく「くまなき月の渡るに似る」と感想を述べた。
このことから後に「渡月橋」と呼ばれるようになった。
昔の絵画「山城あらし山 吐月橋」(画:葛飾北斎)には弧を描く橋が描かれている。
1606年に商人であった角倉了以が亀岡から嵐山まで伐採した木材などを京へ送るため、
上流から産物を舟で運べるように保津川を水路として整備した際に、
現在の位置に橋が架け替えられ、現代にまで残る渡月橋の原型となった。
渡月橋の下を流れる川は行政上は桂川(かつらがわ)と統一されているが、渡月橋を境に下流は桂川、上流は保津川(ほづがわ)、更に亀岡より上流では大堰川(おおいがわ)と名が変わる。
渡月橋の上流側は保津川下りの着船地となっているほか、屋形船・貸ボートの乗り場もあり、多くの舟が見られる。
嵐山・嵯峨野は見どころが多く、すぐ近くに世界遺産の天龍寺をはじめ、竹林の小径、二尊院、祇王寺、野宮神社、大覚寺、大河内山荘などがある。
京都駅からJR嵯峨野線「嵯峨嵐山」下車
京都駅から京都市営バス28号系統「嵐山天龍寺前」下車
四条河原町から京都市営バス11号系統「嵐山天龍寺前」下車
三条京阪から京都市営バス11号系統「嵐山天龍寺前」下車