智恩寺

(ちおんじ)

学問成就や合格祈願を願いお参り

日本三景のひとつとして知られる名勝地「天橋立」の南側にある、
808年に創建された伝わる天橋山 智恩寺。

「三人寄れば文殊の知恵」などと言われる、知恵をつかさどる文殊菩薩が本尊で
古くから知恵を授かるとして信仰され、学問成就や合格祈願で受験生やその家族がお参りに訪れている。

古来より文殊信仰の聖地

智恩寺は「智恵を授かる文殊さん」として有名で、本尊の木造文殊菩薩は国の重要文化財に指定されている。

この地の伝承が記載された古文書「九世戸縁起」から智恩寺と廻船橋で結ばれた小島との間の海が九世戸(天橋立の一部)と呼ばれる。
「九世の戸あまのはしたてと申は本尊は一字文殊」

このことから九世戸の文殊とも呼ばれ、人々に親しまれてきた。

文殊菩薩は智慧(知恵)を司る仏。
安倍文殊院(奈良県)、大聖寺(山形県)とともに日本三文殊のひとつとされる。

本堂 文殊堂

本尊の文殊菩薩が祀られている優美な形をした銅板葺き屋根の文殊堂。
1657年に改築された際に、中央の四本の柱は元の建物の柱をそのまま使用しており、鎌倉時代に訪れた人々が書いた文字が残っている。

本尊は秘仏とされているため、見られるのは年5日の御開帳のみ。

扇子おみくじ

おみくじに扇子を広げると吉凶がわかる「すえひろ扇子おみくじ」があり、境内の松の木に結び付けるのが習わしで、いたるところに扇子が結びつけられている。

八千人以上の大工で作り上げた三門

智恩寺入り口には1767年に再建された丹後地方最大の三門がそびえ立つ。
再建するにあたって後桜町天皇より黄金が贈られたことにより「黄金閣」とも呼ばれ、再建に要した大工の人数は延べ8,000人以上と言われる。

細部にいたるまで本格的な禅宗様式・三間三戸二重門で、楼上に釈迦如来を中央に両脇士・十六羅漢を安置している。

重文 多宝塔

多宝堂は、丹後国守護代で府中城主であった延永春信が病気の全快を感謝して1501年に建設されたものとして伝えられている。

室町時代のものとして丹後地方で唯一の建築物で、中央には大日如来が安置。国の重要文化財に指定されている。

湯船を使った手水鉢

1290年に河内国の鋳物師により制作された鉄湯船。
寺院の大湯屋にて寺僧の入浴に使われていたもので、現在は手水鉢として参拝者の身を清める。
この鉄湯船が国の重要文化財に指定されている。

智恵を授かる「智恵の餅」

山門の前には門前町があり、土産物屋やレストラン、旅館やホテル、民宿などが並ぶ。
門前町に並ぶ四軒の茶屋でのみ作られる天橋立の名物「智恵の餅」。
食べれば智恵を授かると言われている。

まだ智恩寺の前には浜しかなかった300年以上前に、とある老婆が門前で餅を売り始めた。
この餅を食べて智恵を授かったという言い伝えにより智恵の餅と呼ばれ、今でも余計なものを使わず昔ながらの製法で作り続けている。

柔らかな食感の真っ白な餅にたっぷりと風味豊かな餡がのった智恵の餅は、ここでしか味わうことができない。

廻旋橋

かつて智恩寺から天橋立には「久世戸の渡し」といわれ、渡し船で渡っていた。
江戸時代までに描かれた絵には天橋立の南側から陸地まではかなり離れている。
江戸時代後期から明治時代前期にかけて久世戸(間の海)に小天橋と呼ばれる小島が形成された。

陸地から小天橋を渡す可動橋が1923年にできた。
この橋は大型船が通過するたびに橋の中央部分が手動で90度まわる珍しい橋。
1957年には旋回が電動式になり、現在の旋回橋となった。

智恵の輪燈籠

廻旋橋の脇には航海の安全を祈って江戸時代に建てられた灯篭があり、輪の中に明かりがともされ、行き来する船の標になっていた。
九世戸の渡しを守ってきたこの石燈籠を文殊菩薩の慈悲の光と感じ、地元の人々から智恵の輪燈籠と呼ばれるようになったと言われ、
この灯篭の輪を3回くぐり抜けると知恵が授けられると言い伝えられている。

天橋立の形成

宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔てる天橋立は、
幅は約20~170メートル、全長3.6キロメートルの細長く延びた砂州に
約5,000本もの松が茂る個性的な地形。

7,000年前までは天橋立の原型すらなかったが、海面の上昇によって海底に砂州が形成され、2,200年前に地震による影響で海面上に現れた。

江戸時代までは小天橋と呼ばれる小島がなかったが、江戸時代後期から明治時代前期にかけて久世戸(間の海)に形成され、現在の形になったと推測されている。

近年、天橋立は侵食により縮小・消滅の危機にあり、消滅から守るために、砂の流出を防ぐ堤防が一定の間隔で築かれている。
この堤防に砂がたまって東側の部分は、白っぽくギザギザな形をしている。

国宝「天橋立図」

室町時代に活躍した水墨画家・禅僧の雪舟が1501年頃に天橋立に赴き『天橋立図』を描いた。
京都国立博物館蔵で国宝に指定されている。

寺名の記載はないが、現存する智恩寺の多宝塔や、南に並んで二体、北に一体の地蔵菩薩(石仏)の姿を確認することができる。
今は埋め立てられた入江には、1879年に智恩寺境内に移築された弁財天女堂が描かれている。

Information

名称
智恩寺
(ちおんじ)
Chionji Temple
リンク
公式サイト
住所
京都府宮津市字文珠466
電話番号
0772-22-2553
営業時間

駐車場  8:00~17:00
本堂売場 8:00~17:00

料金

拝観自由

駐車場
100台 1日 700円
アクセス

京都丹後鉄道宮豊線天橋立駅下車、徒歩約5分

エリア
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