概要: 姫路城 西御屋敷跡庭園 好古園
好古園は、江戸時代の古地図『姫路侍屋敷図』を基に、特別史跡地である姫路城西御屋敷跡や旧市之橋で発掘調査によって確認された遺構をそのまま生かして作庭された庭園群です。総面積は3.5ヘクタールにおよび、池泉回遊式庭園として9つの異なる日本庭園で構成されています。それぞれの庭園は、当時の屋敷割遺構を反映した築地塀などで仕切られており、独自の風情を感じさせます。
設計と歴史的背景
庭園の設計には、造園学者の中村一氏をはじめとする地元の若手造園家たちが協力し、江戸時代の建築様式が随所に再現されています。特に、長屋門や屋敷門、渡り廊下などが設置されており、これらは時代劇や大河ドラマの撮影地としても利用されています。好古園は、姫路市制100周年を記念して1992年(平成4年)4月29日に開園しました。園の入口に掲げられた扁額には、結城義聞の子息である元東京大学教授・結城令聞氏の書が使用されています。
好古園の人気と現代の魅力
開園以来、好古園は多くの人々に親しまれており、2017年(平成29年)3月には入場者数が500万人を突破しました。歴史と自然が調和したこの庭園は、四季折々の風景を楽しむことができ、特に春には桜、秋には紅葉が訪れる人々を魅了します。
庭園の構成: 9つの美しい庭園
好古園は9つの異なる日本庭園から成り立っており、それぞれが独自のテーマを持っています。以下に、各庭園の特色を紹介します。
御屋敷の庭
御屋敷の庭は、西御屋敷跡に位置し、好古園の中で最も広大な池泉回遊式庭園です。この庭園は、姫山原生林を借景としており、大池には約250匹の錦鯉が泳いでいます。この大池は、瀬戸内海の風景を象徴しているとされています。
茶の庭と茶室「双樹庵」
茶の庭は、静寂と雅を感じさせる茶庭であり、裏千家家元である千玄室氏が設計した数寄屋建築の茶室「双樹庵」が併設されています。ここでは、伝統的な日本の茶道を体験することができます。
築山池泉の庭
築山池泉の庭は、人工の築山と池が調和する庭園であり、四阿「臨泉亭」からは美しい景色を楽しむことができます。
松の庭と夏木の庭
松の庭と夏木の庭は、それぞれ松や夏木を主題にした庭園で、四季折々の自然の美しさを感じることができます。夏木の庭には四阿「鷲望亭」が設置されており、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
流れの平庭と竹の庭
流れの平庭は、姫路城の連立天守を背景にした庭園であり、四阿「流翠亭」からその美しい眺望を楽しむことができます。また、竹の庭は、15種類の竹が植えられた庭園であり、四阿「聞竹亭」からその清々しい景色を堪能できます。
花の庭
花の庭は、季節ごとに咲き誇る花々が彩りを添える庭園で、四阿「花笠亭」からはその華やかな風景を楽しむことができます。
利用案内とアクセス
好古園の開園時間は9:00~17:00で、入園は16:30まで可能です。季節により開園時間が延長されることもありますが、毎年12月29日と12月30日は休園日となっています。
所在地は〒670-0012 兵庫県姫路市本町68で、交通アクセスも便利です。山陽姫路駅(山陽電車)から徒歩約14分、またはJR姫路駅から徒歩約15分で到着します。
好古園での撮影と文化的価値
好古園は、その美しい景観と歴史的な建築物により、多くの時代劇や映画の撮影地としても利用されています。『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』などの作品の撮影地としても知られ、また『るろうに剣心』などの映画撮影も行われています。
このように、好古園は単なる観光地としてだけでなく、日本の歴史や文化を深く感じられる場所として、多くの人々に愛されています。