城崎温泉は平安時代以前から知られる長い歴史を持つ温泉です。風情ある景観と浴衣で湯めぐりを楽しむ人々で、まるで昔の日本にタイムスリップしたかのような体験ができます。
温泉街は東に円山川、背後の三方は山々に囲まれ、大谿川(おおたにがわ)に沿って「く」の字型につくられています。川の両岸には木造三階建ての老舗旅館が軒を連ね、川の流れに沿って桜並木としだれ柳が続いています。また、玄武岩を重ね合わせた護岸と階段状の昔ながらの石造りの太鼓橋、温泉街各所にある足湯や飲泉場が温泉情緒を醸し出しています。
城崎温泉には「外湯」と呼ばれる天然温泉の公衆浴場が7つあります。昔は旅館に内湯がなく、客は温泉街の各所にある外湯に通っていました。1950年以降にほぼ全ての宿に内湯が設置されましたが、旅館宿泊者は全外湯の入浴料が無料になる入浴券を利用でき、浴衣姿で全外湯を巡る「外湯めぐり」が名物となっています。城崎温泉の7つの外湯の両端にある外湯まで歩いても20分、それぞれ趣きが異なる7つの湯を散策しながら歩いて巡ることができます。
7湯の中で最古の湯であり、舒明天皇の時代にコウノトリが足の傷を癒しているのを発見したという開湯伝説があります。山家風の建物で、道の奥に引っ込んでひっそりと建っており、庭園露天風呂もあります。
温泉寺開祖の道智上人が千日曼荼羅行で湧出させた湯が源泉だったと伝えられています。建物も仏縁にちなんで御堂を模し、入口は唐破風でエキゾチックな雰囲気です。
後堀河天皇の御姉、安嘉門院が来浴した湯とされています。京都御所を彷彿とさせる建物で、開放感溢れる露天風呂があります。
温泉街中央の王橋のたもとにあり、城崎のシンボルです。一見歌舞伎座を思わせる桃山風の建築で、洞窟風呂があります。名前は江戸中期の温泉学者、香川修徳が当時「新湯」といったこの湯を天下一と推賞したことに由来します。玄関脇には「海内第一泉」(日本一の温泉)の石碑が誇らしげに建っています。
柳の下から湧き出した湯が始まりという、大正ロマン漂う木造の浴場です。
町の玄関口としてふさわしいインパクトのある建物です。この湯の泉源から地蔵尊が出たことから、この名が付けられました。
JR城崎駅のすぐ横にある日本最大の駅舎温泉です。三階の天望露天風呂からは円山川が一望でき、二階には和・洋風の大浴場のほか泡風呂や各種サウナがあり、いろいろな入浴が楽しめます。
日本海岸近くの温泉であり、夏は海水浴、冬はカニ料理に人気があります。
兵庫県豊岡市にある温泉
城崎温泉(きのさきおんせん)は、兵庫県豊岡市城崎町にある温泉で、平安時代以前から知られる長い歴史を持つ温泉地です。江戸時代には「海内第一泉(かいだいだいいちせん)」と呼ばれ、その碑が今も残っています。有馬温泉、湯村温泉とともに兵庫県を代表する温泉でもあります。
泉質は食塩泉で、源泉温度は37 - 83℃です。全ての源泉は、1972年に作られた集中配湯管理施設に集められ、平均温度を57度に安定させた後、町内の各外湯や旅館に配管を通じて送られています。
城崎温泉は7つある外湯めぐりを主とした温泉です。外湯の筆頭とされる「一の湯」は江戸時代に「新湯(あらゆ)」と呼ばれていましたが、江戸時代中期の漢方医である香川修徳が泉質を絶賛し、「海内一」(日本一)の意味を込めて「一の湯」に改名しました。
城崎温泉駅前から7つの外湯につながる大谿川(おおたにがわ)沿いに温泉街が形成されており、川べりには柳が植えられています。大谿川に架かる橋梁群は2006年度に兵庫県の景観形成重要建造物に指定されました。日本海岸近くに位置し、夏は海水浴、冬はカニ料理が人気です。
城崎温泉の開湯伝説によると、舒明天皇時代の629年にコウノトリが傷を癒していたことが発見のきっかけとされています。奈良時代初期の717年(養老元年)に訪れた仏教僧侶の道智上人が千日間経を唱え続け、720年(養老四年)に霊湯が湧き出したと伝えられています。
江戸時代には「西の関脇」にランクされ、多くの文人墨客が訪れました。1925年の北但馬地震で町は全焼しましたが、復興により現在の木造3階建ての町並みが形成されました。
城崎温泉では、外湯の一番初めに訪れた男女に「一番札」を配布していましたが、2021年3月末で廃止されました。外湯は一の湯、御所の湯、まんだら湯、さとの湯、柳湯、地蔵湯、鴻の湯の七湯です。
城崎温泉では、7月下旬から8月下旬にかけて「城崎温泉夏物語」や「城崎灯篭流し」、8月下旬には「城崎温泉ふるさと祭り花火大会」などが開催されます。
城崎温泉周辺には温泉寺、四所神社、極楽寺などの社寺や、城崎美術館、城崎文芸館などの博物館があります。また、城崎ロープウェイや城崎マリンワールドも観光名所です。
城崎温泉へのアクセスは、山陰本線の城崎温泉駅が最寄り駅です。京都駅、大阪(梅田)、神戸(三宮)からの全但特急バスや、東京国際空港(羽田空港)から大阪国際空港(伊丹空港)を経由する飛行機の便も利用できます。
JR城崎温泉駅から徒歩で5分