東尋坊は、日本海に突き出した柱状の断崖が1km余りも続く奇観で、輝石安山岩の柱状節理という地質学上でも珍しい奇岩です。これだけ大規模な柱状節理は世界的にも珍しく、朝鮮半島の金剛山やスカンジナビアのノルウェー西海岸と並ぶ、地質学的に大変貴重な場所です。そのため、国の名勝および天然記念物に指定されています。
東尋坊は福井県坂井市三国町安島に位置し、越前加賀海岸国定公園の特別保護地区に指定されています。この海食崖は険しい岩壁が続き、最も高い場所で約25メートルの垂直の崖があります。東尋坊を構成する岩は、輝石安山岩の柱状節理で、これほどの規模を持つものは世界に3ヶ所しかありません。そのため、地質上極めて貴重とされ、昭和10年(1935年)に国の天然記念物および名勝に指定されました。また、平成19年(2007年)には日本の地質百選に選定されました。
東尋坊の岩は、約1,300万年前から1,200万年前の新生代第三紀中新世に起こった火山活動で、マグマが堆積岩層中に貫入して冷え固まったものです。これが日本海の波による侵食を受けて地上に現れました。東尋坊の火山岩は、白色の斜長石の斑晶や暗緑色の普通輝石・紫蘇輝石の斑晶を含む東尋坊安山岩で、マグマが冷えて固まるときにできた五 - 六角形の柱状の割れ目(柱状節理)がよく発達しています。
東尋坊は観光地として開発されており、遊歩道や遊覧船、展望タワーや商店街などがあります。荒磯遊歩道は、三国町米ケ脇から東尋坊を経て雄島近くまで約4km続きます。遊歩道沿いには、三好達治、森田愛子、伊藤柏翠、高浜虚子、山口誓子、則武三雄など、三国にゆかりのある文人、詩人、俳人たちの句碑や詩碑が置かれています。
東尋坊の先端から約350メートルの位置にある有料の展望台で、360度の眺めがあります。東尋坊以外にも福井平野や越前岬、白山なども見渡せます。タワーの高さは55メートルで、展望室の高さは50メートルです。下部は土産物店や飲食店になっています。
有料の観光船で、1周約30分で、北西にある雄島の近くまで遊覧します。通常は東尋坊の岩場から遊覧船に乗りますが、海の状態によっては南方に約1.6km離れた三国サンセットビーチ乗り場から運航されることもあります。
東尋坊の海岸には、千畳敷、三段岩、ライオン岩、ハチの巣岩、夫婦岩、ロウソク岩、大池(高さ約25メートルの絶壁に囲まれた海岸地形)などがあります。大池は遊覧船も進入することができます。
地名の由来は複数ありますが、主に平泉寺の僧、東尋坊の伝説に基づいています。東尋坊は怪力を頼りに悪事を働き、その結果、他の僧たちに海の断崖から突き落とされました。この出来事が地名の由来とされています。
東尋坊は自殺の名所としても知られていますが、地元では自殺を防ぐための努力が行われています。各所に句碑や看板が設置され、公衆電話にはテレホンカードや10円硬貨が常備されています。また、NPO団体「心に響く文集・編集局」が自殺志願者の支援活動を行っています。
京福バス東尋坊線「東尋坊」停留所下車、徒歩すぐ。えちぜん鉄道三国芦原線の三国駅停留所から約10分、三国港駅前停留所から約5分、あわら湯のまち駅停留所から約30分。JR西日本北陸新幹線、ハピラインふくい線との接続は、芦原温泉駅から約45分。E8北陸道金津ICから車で約15分。
周辺には、東尋坊タワー、雄島、越前松島、荒磯遊歩道などの観光スポットがあります。
えちぜん鉄道 三国駅からバスで15分