角島大橋は、離島に架かる橋として無料で渡れる一般道路の中では、日本屈指の長さ(1780m)を誇ります。特有のコバルトブルーの海士ヶ瀬をまたぎ、景観と調和した雄姿は、西長門海岸地域随一の景勝地です。
角島大橋は1993年9月6日に着工し、2000年11月3日に開通しました。総工費は149億円で、山口県道276号角島神田線の一部として建設されました。かつて角島への交通手段は渡船が主でしたが、橋の完成により陸路で結ばれるようになりました。当初は旧豊北町の町道として建設され、道路構造令の第三種第四級で設計されたため、最高速度は40km/hに制限され、強風時には通行止めになることがあります。
北長門海岸国定公園内に位置するため、橋脚の高さを抑え、周囲の景観に配慮した構造となっています。架橋ルート選定に際しては、本土と角島の中間に位置する鳩島に橋脚を建設する案も検討されましたが、自然景観保護の観点から島を迂回する現在のルートが採用されました。この取り組みが評価され、2003年に「土木学会デザイン賞2003」の優秀賞を受賞しました。
橋の両側の海はエメラルドグリーンやコバルトブルーの美しい色をしており、その景観から山口県の新たな観光名所となっています。テレビCM、特に自動車のCM(レクサス・GS450h、三菱・ギャランフォルティス、スズキ・スイフト、日産・ノートなど)のロケ地として多く採用されています。
完成当初は通行料金が無料の離島架橋としては日本最長でしたが、2005年に古宇利大橋(沖縄県・全長1,960m)、2006年に新北九州空港連絡橋(福岡県・全長2,100m)、2015年に伊良部大橋(沖縄県・全長3,540m)が建設され、これらよりも長い橋が登場しました。
1991年4月1日: 市町村道補助事業として事業採択。
1991年7月6日: 海上部地質調査に着手。
1992年4月1日: 県事業・市町村道代行橋梁整備事業に移管。
1992年7月2日: 架橋ルート発表。
1993年9月6日: 角島大橋建設工事起工式。
2000年11月3日: 開通。
2003年: 土木学会デザイン賞優秀賞受賞。
2015年: 旅行サイト「トリップアドバイザー」の「口コミで選ぶ 日本の橋ランキング」で1位に選出。
角島大橋は本州の西端、日本海上の山口県角島へと渡る位置にあります。かつてフェリーでしか渡れなかった角島への交通が橋の開通により改善されました。周辺の海は白い砂で覆われ、澄んだ海水が太陽光の加減でエメラルドグリーンから紺碧色まで変化します。
橋を渡った先にある角島北西端の角島灯台までは約5kmの距離があります。本州側の海土ヶ瀬公園と角島の瀬崎陽の公園は、角島大橋を眺める絶好の展望所となっています。このロケーションの良さから映画『四日間の奇跡』の舞台となり、テレビドラマやCMのロケ地としても話題を集め、年間約90万人が訪れる観光地となっています。