温泉津港から山側に伸びている、三方を山に囲まれた温泉地で、戦国時代や江戸時代に石見銀山から産出される銀の積出港として栄えた港町。山陰道(山陰街道)の宿場町でもあった。
温泉街は狭い曲りくねった道に、鄙びた日本旅館が両側に立地する静かな街並みで、いかにも古い湯の町情緒。中ほどに2つの共同浴場があり、下駄を鳴らしての外湯めぐりが楽しい。
「温泉津町温泉津伝統的建造物群保存地区」の名称で国の重要伝統的建造物群保存地区として選定された。
開湯は古く1300年前と伝えられ、伝説では大狸が入浴しているところを発見したものとされる。
地名にもなっている温泉津(ゆのつ)は「温泉の有る港」の意味。
古くからその効能の高さが知られている。泉質はナトリウム-食塩泉で、湧出時は透明だが湯船では淡茶褐色を呈す。入浴のほかに飲泉も効果があり、味はやや苦渋い。
共同浴場の薬師湯は日本温泉協会により全項目「オール5」の最高評価の天然温泉として認定されている。1872年に発生した地震により湧出を始めた自然湧出の源泉で、湧き出している源泉の温度は約46度。何も手を加えずに湯船に注ぐ、100%本物のかけ流し温泉。
JR山陰本線・温泉津駅