千光寺は、広島県尾道市の千光寺山中腹に位置する真言宗系の単立寺院で、千光寺公園内にあります。千光寺山の山頂までは、千光寺山ロープウェイを利用して登ることができます。
この寺院は、朱色の本堂と龍宮造りの鐘楼で知られ、尾道の代表的な景観の一つとなっています。
寺伝によれば、千光寺は大同元年(806年)に創建され、源満仲(多田満仲)によって再興されました。戦国時代には、備後国の城主である杉原元恒がこの地に出城を築いたとされています。
千光寺の鐘楼「驚音楼の鐘」は、その音色が「日本の音風景100選」に選ばれています。鐘楼からは尾道市街と瀬戸内海の尾道水道、向島などが一望でき、ここからの景色は観光案内などにもよく使用されています。
境内には、本堂、大師堂、客殿、護摩堂、三十三観音堂、大仙堂、毘沙門堂、鐘楼、撫松庵・磐石の庭など、多くの伽藍が点在しています。また、巨岩奇岩も数多く存在し、その中でも特に「玉の岩」や「三重岩」などは必見です。玉の岩にはかつて光る珠が乗っていたという伝説があり、訪れる人々に驚きと感動を与えています。
千光寺山自体は日本百景に選ばれるなど、日本でも著名な絶景スポットとなっています。千光寺公園は、日本さくら名所100選、日本の夜景100選(展望台)、日本夜景遺産、恋人の聖地にも選定されており、四季折々の美しい風景を楽しむことができます。
千光寺公園から当寺へ下る道は「文学のこみち」として整備されています。倉敷市に疎開していた横溝正史が、『獄門島』の舞台の1つとして「千光寺」の名前を登場させていますが、これは岡山県倉敷市の千光寺を指しています。
また、千光寺山中腹には「おのみち文学の館」が整備されており、麓から千光寺に至る登山道で見学することができます。千光寺へ登る階段部分には、「足形みちの足形」が展示されています。
千光寺の所在地は、広島県尾道市東土堂町15-1です。JR西日本山陽本線尾道駅から車で15分、または徒歩20分で千光寺山ロープウェイ山麓駅に到着し、そこから3分で山上に到達できます。
千光寺は、中国三十三観音霊場の第十番札所、山陽花の寺二十四か寺の第二十番札所となっています。近隣には尾道市立美術館があり、また、尾道の市街地や瀬戸内海の尾道水道を一望できることから、多くの観光客が訪れます。
境内には「玉の岩」や「鏡岩」などの巨岩が点在し、これらは古くからの伝説に彩られています。特に「鼓岩(ポンポン岩)」は、NHK連続テレビ小説『てっぱん』のオープニングシーンにも登場しました。
1976年には、台風17号による集中豪雨で千光寺のある山の西側斜面が崩壊し、土石流が下流の民家を押し流して死者が出たこともありました。
千光寺は、その歴史と自然の美しさから、多くの人々に愛される場所です。ぜひ一度訪れて、その魅力を堪能してみてください。
参拝無料
千光寺公園駐車場 有料
JR尾道駅からバスで5分 バス停「長江口」下車 → ロープウェイで3分
JR尾道駅から徒歩約15分 → ロープウェイで3分
千光寺公園駐車場より徒歩10分