嚴島神社は広島県廿日市市の宮島にあり、593年に創建されました。宗像三女神を祀り、平家一門の信仰を集めました。平安期の寝殿造りを神社建築に応用し、長い回廊が特徴的です。全建造物は国宝および重要文化財に指定されています。
嚴島神社は古くから「伊都岐島神社」とも記され、全国に約500社ある厳島神社の総本社です。1996年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。平家の信仰で知られ、平清盛により現在の海上に立つ大規模な社殿が整えられました。建物の多くは国宝や重要文化財に指定されています。
祭神は宗像三女神、市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命の3柱です。市杵島姫命は仏教の弁才天と習合し、大願寺と一体化して大伽藍を構成していました。
嚴島神社の社殿は海上に建ち、満潮時には海に浮かんでいるように見えます。本殿、拝殿、回廊などが国宝に指定されています。社殿は平安時代末期に平清盛の援助を受けて造営されましたが、火災や台風などで度々被害を受けています。
社殿の屋根は檜皮葺で、本殿は切妻造です。本殿の内部には6基の宝殿があり、宗像三女神を祀っています。社殿は大規模な修復を前提に建てられており、修復が繰り返されています。
社殿は海の上に建てられているため、台風や高潮の被害を受けることがしばしばあります。1991年の台風では能舞台が倒壊するなどの被害がありましたが、そのたびに修復が行われています。
明治維新後、神仏分離の原則により社殿の一部が破壊されましたが、直訴によって焼却は免れました。近代社格制度では国幣中社に列し、後に官幣中社に昇格しました。明治末に社殿が国宝に指定され、廃仏毀釈で破壊された部分が修復されました。
摂社客神社は、本社と同様に本殿・幣殿・拝殿・祓殿から構成されていますが、規模は本社より小さく、細部の構造も異なります。本殿は両流造、桁行5間、梁間4間。拝殿は入母屋造、桁行9間、梁間3間で、幣殿で連結されています。祓殿は入母屋造、妻入で、桁行4間、梁間3間です。
東西廻廊は海上の各建物と陸地を結ぶ渡り廊下の役割を果たしています。西廻廊は62間あり、能舞台を囲んで本社祓殿西面に接続します。東廻廊は45間で、客神社祓殿と拝殿の間を通り、本社祓殿東面に接続します。廻廊の床板は高潮時の水圧を逃がすため、隙間を空けて張られています。室町時代末期から桃山時代に整備され、現在の床板は明治末期に張り替えられたものです。
国宝建築物のほかに、摂社、末社、附属建物など14棟が重要文化財に指定されています。摂社大国神社本殿、摂社天神社本殿、朝座屋、能舞台、揚水橋、長橋、反橋、大鳥居などが挙げられます。地上部分にも校倉造りの宝蔵や末社豊国神社本殿、五重塔、末社荒胡子神社本殿、多宝塔などがあり、神仏習合の名残をとどめています。
現存する大鳥居は明治8年の再建で、棟の高さ16.6メートル、柱間10.9メートルの大型の木造両部鳥居です。主柱はクスノキ、控柱はスギ材で、1950年の修理時に根継ぎが行われました。鳥居は自重で立っており、内部には拳大の石が詰め込まれていて風や波に耐える構造になっています。大鳥居には観光客によって硬貨が差し込まれるケースが多発しており、神社側は老朽化を防ぐために止めるよう呼びかけています。
『一遍上人絵伝』に描かれる厳島神社の風景は、弘安10年の臨時祭の時のもので、現存する社殿とは異なっています。絵巻に描かれた建物構成が絵空事か、再建以前の様式かは定かではありません。
地御前神社
鎮座地:地御前(北緯34度20分10.46秒 東経132度19分8.45秒)
祭神:市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命(本社と同じ)
創建:推古天皇元年(593年)
境内社:御客人宮(祭神:正哉吾勝々速日天忍穂耳命、天穂日命、天津彦根命、活津彦根命、熊野樟日命)
歴史:厳島は古くは神の住む島として禁足地であったため、対岸の地に創建され遥拝所となった。後に平氏の隆盛とともに外宮として発展。
現在:旧暦6月17日の管絃祭において管絃船(御座船)が本社から地御前神社へ渡御する。
御山神社
鎮座地:弥山山頂(北緯34度16分39.62秒 東経132度19分6.71秒)
祭神:市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命(本社と同じ)
摂社:境内摂社
客神社(祭神:天忍穂耳命、天穂日命、活津彦根命、天津彦根命、熊野櫲樟日命)
左門客神社(祭神:豊磐窓神)
右門客神社(祭神:櫛磐窓神)
大国神社(祭神:大国主命)
天神社(祭神:菅原道真公)
大元神社
鎮座地:西大西町(北緯34度17分40.84秒 東経132度18分50.32秒)
祭神:国常立尊、大山祇神(相殿:佐伯鞍職)
例祭:1月20日(「百手祭」といわれる御弓神事が行われる)
三翁神社
鎮座地:宮島町大町(北緯34度17分46.95秒 東経132度19分15.60秒)
祭神:中央:大綿津見神、安徳天皇、佐伯鞍職、二位尼、所翁、岩木翁
例祭:5月3日
長浜神社
鎮座地:宮島町(北緯34度18分10.42秒 東経132度19分30.27秒)
祭神:興津彦命、興津姫命(相殿:所翁)
七浦とは島の周囲にある浦の総称で、各浦に以下の神社が東回りに鎮座しています。古くは島廻りが盛んに行われていました。
杉之浦神社(第一拝所、祭神:底津少童命)
鷹巣浦神社(第二拝所、祭神:底筒男命)
腰細浦神社(第三拝所、祭神:中津少童命)
青海苔浦神社(第四拝所、祭神:中筒男命)
山白浜神社(第五拝所、祭神:表津少童命)
須屋浦神社(第六拝所、祭神:表筒男命)
御床神社(第七拝所、祭神:市杵島姫命)
1月
歳旦祭(1月1日)
二日祭(1月2日)
元始祭(1月3日)
地久祭(1月5日)
4月
桃花祭(4月15日)
桃花祭御神能(4月16日-18日)
5月
推古天皇祭遙拝式(5月18日)
6月
市立祭(旧暦6月5日)
管絃祭(旧暦6月17日)- 例祭
7月
玉取祭(旧暦7月14日)- 8月正午満潮時の日曜日
10月
献茶祭(10月4日)
菊花祭(10月15日)
12月
天長祭(12月23日)
鎮火祭(12月31日)
管絃祭(かんげんさい)は、旧暦6月17日に行われる例祭です。大阪の天神祭(大阪天満宮)、島根のホーランエンヤ(城山稲荷神社)とともに「日本三大船神事」に数えられます。
この祭りは平清盛が始めたとされ、都で行われていた管絃遊びを元にした神事です。管絃船(御座船)が対岸の地御前神社へ渡御したのち還御します。厳島が禁足地とされていた時代には、対岸の地御前神社から厳島神社に行き管絃を合奏する神事でした。
厳島神社(1件6棟)
本社本殿、幣殿、拝殿(1棟)
本社祓殿
摂社客神社本殿、幣殿、拝殿(1棟)
摂社客神社祓殿
廻廊東廻廊
廻廊西廻廊
高舞台、平舞台、左右楽房、左右門客神社本殿、棟札4枚
廻廊の附属物として棟札19枚
平家納経
法華経(開結共)30巻、阿弥陀経1巻、般若心経1巻、長寛二年平清盛願文1巻
金銀荘雲龍文銅製経箱 1具
蔦蒔絵唐櫃 1合
金銅密教法具 1具(金剛盤1口、五鈷鈴1口、独鈷杵1口、三鈷杵1口、五鈷杵1口)
厳島神社古神宝類 一括
宝相華文螺鈿平塵飾太刀 1口
装飾太刀 1口
厳島神社(16件)
摂社大国神社本殿
末社八幡神社本殿
末社玉ノ浦神社本殿
末社後白神社本殿
末社三翁神社本殿
末社市杵島神社本殿
末社四宮神社本殿
末社五宮神社本殿
末社長浜神社本殿
末社新殿
南御社殿(本殿、幣殿、拝殿、祓殿)
旧長門守新殿
大経寺(本堂)
客神社(阿多古神社)拝殿
客神社(阿多古神社)祓殿
絵画
厳島神社縁起絵巻
絹本著色厳島曼荼羅図
彫刻
木造阿弥陀如来及両脇侍像
木造聖観音立像
工芸品
金銅密教法具
唐櫃(とうびつ)
平家納経宝号
厳島神社文書
世界遺産
厳島神社(1996年12月6日登録)
国の特別史跡及び特別名勝
厳島
国の名勝
厳島(御山、桜井、菅原、大鳥居、鹿ヶ浦)
厳島神社は、古代より神聖な島として崇拝され、平安時代からは多くの貴族や武士によって信仰を集めてきました。特に平清盛によって大規模な改築が行われ、現存する壮麗な建造物群が形成されました。その美しい景観と歴史的価値から、1996年にはユネスコの世界遺産に登録されました。現在も多くの観光客や信仰者が訪れ、その文化的・宗教的意義を伝え続けています。
厳島神社は、その壮麗な建築様式と自然との調和、さらには多くの祭事や伝統的な神事を通じて、日本文化の深い歴史と精神を象徴する存在です。島全体が一つの神域としての役割を持ち、訪れる人々に深い感動を与え続けています。
嚴島神社
1月1日 0時00分~18時30分
1月2日~1月3日 6時30分~18時30分
1月4日~2月末日 6時30分~17時30分
3月1日~10月14日 6時30分~18時00分
10月15日~11月30日 6時30分~17時30分
12月1日~12月31日 6時30分~17時00分
宝物館
通年 8時00分~17時00分
千畳閣
通年 8時30分~16時30分
年中無休
嚴島神社 昇殿料
個人 大人 300円
高校生 200円
中小学生 100円
宝物館 拝観料
個人 大人 300円
高校生 200円
中小学生 100円
宮島棧橋から徒歩で12分